つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

消化器

機能性便秘の診断基準(ローマⅢ)

便秘を主訴に来院する患者にすぐに下剤を投与してはならず、問診により便秘の原因を探る。便秘は器質性便秘、薬剤性便秘、機能性便秘などに分類される。 ◯器質的便秘:悪性腫瘍(大腸がん)、術後狭窄、炎症性狭窄、ヘルニアなど ◯薬剤性便秘:オピオイド、N…

筋性防御と筋硬直、板状硬の違い

■筋性防御と筋硬直、板状硬の違い 筋性防御とは腹部の触診の際に患者が自分で痛みを自覚しているために自分の意思で腹筋に力を入れて痛みを和らげようとする徴候のこと。 筋硬直とは腹壁の腹膜に激しい炎症が及ぶと、同部位の筋肉が患者の意思とは関係なく反…

虫垂炎の症状の出現する順番

虫垂炎では症状の発症する順番はある程度決まっている 半日〜2日ぐらいの経過で次のように症状が出現する。 1,心窩部痛 2,嘔気、嘔吐、食欲不振 3,右下腹部の圧痛 4,発熱 5,白血球増加 ・認められない症状があることはあっても順番が逆になること…

吐血による緊急内視鏡の適応

上部消化管出血患者でいつ緊急内視鏡を行うべきか。 「救急外来ただいま診断中!」(中外医学社)で紹介されている緊急内視鏡の適応は以下の通り。以下の1つでも満たせば適応。 ・現在も吐血が持続している場合 ・食道静脈瘤破裂の可能性がある場合(食道静…

vibrio vulnificusが肝硬変患者に多く発症する理由

vibrio vulnificus感染症が肝硬変患者に多く発症する理由 【vibrio vulnificusとは】 vibrio vulnificus(ビブリオ・バルニフィカス)とはビブリオの一種で壊死性筋膜炎を起こすことから日本では人食いバクテリアとも呼ばれる菌の一種である。 生息域は腸炎…

便秘患者へのアプローチ@救急外来

便秘患者へのアプローチ@救急外来 【便秘の分類】 ◯器質的便秘:悪性腫瘍(大腸がん)、術後狭窄、炎症性狭窄、ヘルニアなど ◯薬剤性便秘:オピオイド、NSAIDS、抗コリン薬、利尿薬、抗精神病薬、カルシウムブロッカー、などの副作用 ◯症候性便秘;妊娠、糖…

大腸穿孔に大網充填しない理由

大腸穿孔に大網充填しない理由 イラスト引用:http://www.med.akita-u.ac.jp/~geka1/03-01.html 胃穿孔では大網を充填することで閉鎖を期待できるが、大腸穿孔症例に関して大網充填術を行うことは通常ない。胃の場合組織が分厚いので大網を充填するだけでし…

便秘の鑑別と検査

【便秘の鑑別】 大腸がん 問診:便秘、血便、体重減少、食欲不振、嘔気・嘔吐 所見:腹部腫瘤、直腸診での腫瘤触知 検査:便潜血、大腸内視鏡 ☆50歳以上で大腸内視鏡検査歴のない患者ではスクリーニング目的で大腸内視鏡施行を考慮してもよい。 腸閉塞 問…

グル音の”亢進”、”正常”、”減弱”の違い

腹部の腸蠕動音(グル音)の聴診においてその音の頻度によって原因の鑑別をすることが可能である。 グル音の頻度の判定は以下のように行う。 ・1分間で5回以上グル音が聞こえる→「正常」 ・1分間で常に聞こえ続ける→「グル音亢進」 (by腸炎、過敏性腸症…

胃瘻と中心静脈栄養の違いと適応

胃瘻と中心静脈栄養の違いと適応 胃ろうと中心静脈栄養は嚥下障害などで経口的に食べ物を摂れない人の栄養管理のために行われる処置である。 ・胃瘻は内視鏡を用いて胃と皮膚の間に瘻孔を作り、外部からカテーテルによって栄養を入れる方法である。 ・中心静…

胃管とイレウス管の違い

【経鼻胃管】 経鼻胃管(NGtube)とは鼻から長いチューブを入れて胃とつなげる処置の際に用いる管を言う。治療だけでなく診断目的にも用いられる。 http://kango.pw/archives/1268 (適応) 胃内容物の吸引:上部消化管出血 胃洗浄:薬物中毒など 胃の減圧:…

虫垂炎の診断スコア:MANTREELS

虫垂炎の診断スコア:MANTREELS Alvarado scoreという診断スコアがある。以下の8項目(合計10点満点)中5点以上であれば虫垂炎が疑われる。7点以上であれば強く疑われる(7点以上の場合の感度は76.3%、特異度は78.8%)。勿論スコアが高くても虫垂炎で…

運動不足で大腸がんになりやすい理由

運動不足で大腸がんになりやすいのは何故か 運動不足は生活習慣病のリスクであることは有名であるが、悪性腫瘍も例外ではない。特に大腸がんと運動不足の関係性は強く指摘されていてほぼ間違いないだろうと考えられている。 最も有力な仮説として… 運動不足…

穿孔と穿通の違い

穿孔とは消化管、血管、気管支、尿管などの管腔臓器に全層性の穴が開いた状態のことを言う。消化管に穴が空いた場所が隣接する臓器や組織によって被覆されている場合は穿通と定義される。つまり穴が開きっぱなしは穿孔、一応は塞がってる状態は穿通。 胃や十…

肝濁音界が消失する原因

そもそも肝濁音界とは: 腹部を打診するときにその場所に何の臓器があるかによって聞こえる音が異なる。 例えば叩いた所に腸管などの空気が溜まっていたらポンポンと高い鼓音がするし、肝臓や脾臓などの実質臓器を叩けば重い低調な音が聞こえる(=濁音)。 …

急性膵炎で低下するものの覚え方

急性膵炎では血中カルシウム、血中タンパク、血中酸素濃度、血小板数が低下する。 覚え方としてはCTOPが忘れにくくておすすめ。試験によく出ます。 C;calcium T;total protein O:O2 P:platelet

S状結腸軸捻転でcoffe bean signとなる話

S状結腸軸捻転とは腸間膜を軸として腸が180度以上ねじれて腸閉塞(イレウス)をきたした状態である。症状としては突然の腹痛・腹部膨満が典型的で、また本症では血管を巻き込んでねじれることが多いので絞扼性イレウスとなることも少なくない。 ”コーヒー…

収縮性心膜炎で蛋白漏出性胃腸症となる理由

収縮性心膜炎で蛋白漏出性胃腸症となる機序 収縮性心膜炎とは慢性的な炎症により心膜が線維性に肥厚、癒着、石灰化して心室の拡張が障害される疾患である。特発性が50%を占めるが、結核が原因となることも多い。 収縮性心膜炎では心室が広がらないので心…

肝硬変でメデューサの頭が見られるのは何故か

肝硬変などの原因によって門脈圧が上昇して約250mmH2O以上になると門脈と大循環の間に側副血行路が発達して様々な病態を引き起こす。 門脈圧が高くなると門脈に入れずにUターンして臍帯静脈に流れ込み、下大静脈に向かう。この血液量が多くなると腹壁皮下静…

胃潰瘍からの吐血が”コーヒー残渣様”となる理由

消化管のどこから出血するかで吐血の性状が異なるという話 食道や胃などの上部消化管(特にトライツ靭帯よりも口側)で出血をきたすと口から血液が吐き出される吐血となるが、その血液の性状・色合いはどの程度胃酸に曝されるかによって異なる。 なぜなら赤…

裂肛でみられる”見はりイボ”とは何か

裂肛とは便秘などによる硬い便をいきんで出した時に生じる肛門の傷であり、俗語的には”切れ痔”に相当する。裂孔は数日で回復するが、再発を繰り返してしまうと炎症は慢性的なものとなり、裂肛の外側には見はりイボが見られるようになる。 画像引用元:http:/…

肝庇護とは何か

C型肝炎の治療においてインターフェロン療法が無効であった時に考慮される。肝庇護薬療法としてグリチルリチン製剤とウルソデオキシコール酸がある。 グリチルリチン製剤 グリチルリチン製剤は肝細胞膜に作用することで肝細胞外へのAST、ALTの流出を抑制する…

急性膵炎の治療でヒスタミンH2受容体拮抗薬を用いる理由

【急性膵炎とはどんな病気か】 急性膵炎とは膵臓内で活性化された膵臓の酵素が膵臓自体、あるいはその周辺の組織を自己融解してしまう炎症疾患である。原因としては男性ではアルコール、女性では結石が代表的。症状としては腹痛、発熱、呼吸困難、ショックな…

肝不全による低アルブミン血症の治療法とその意味

肝臓ではタンパク質であるアルブミンの産生を行っているために、肝不全となり肝臓の機能が低下するとアルブミンの合成量も低下してしまい、低アルブミン血症が引き起こされる。 低アルブミン血症では血漿浸透圧が低下している状態(つまり血液が薄い状態)な…

シングルバブル、ダブルバブル、トリプルバブルサインの違い

シングルバブル、ダブルバブル、トリプルバブルサインの違い シングルバブル、ダブルバブル、トリプルバブルサイン、これらはいずれも消化管の閉鎖、狭窄によって出現するレントゲン状の所見である。紛らわしいので整理。 Single bubble signとは:肥厚性幽…

カレン徴候とグレイターナー徴候とは(メモ)

急性膵炎はアルコールや胆石などを原因として膵臓の腺房細胞が障害されてトリプシンなどの消化酵素が膵臓の外に漏れ出ることにより起こる。 皮膚症状として暗赤色の皮下出血斑が出現することが知られていて、膵臓周囲に滲出した血性浸出液が皮下に移動するこ…

膵真性嚢胞と膵仮性嚢胞の違い

膵嚢胞についてメモ的まとめ 膵嚢胞は真性嚢胞と仮性嚢胞に分けられる。 ■仮性嚢胞とは… 嚢胞に上皮がない。 急性膵炎や外傷をきっかけに生じる(膵液が漏れることで炎症が生じるため)。 小さいと自然に吸収されるので保存的治療。しかし治らない時は感染症…

内痔核と外痔核の違い

□痔核の原因 痔核とはそもそも直腸や肛門の静脈叢がうっ滞して出来た静脈瘤である。 原因として以下のものが挙げられる。 1:門脈圧亢進症 肝硬変などで門脈圧が亢進すると、直腸静脈叢の血液は下腸間膜静脈に流入しづらくなり、内腸骨静脈経由で心臓に還ろ…

びらんと潰瘍の違い

びらんと潰瘍の違い 「びらん」「潰瘍」はカラダのどこに出来るかによって定義が若干異なる。 ■皮疹の場合(皮膚科領域) 「びらん」とは表皮基底層までの欠損であり、水泡や嚢胞などに続発する皮疹である。あとに瘢痕を残さない。 「潰瘍」とは表皮のみなら…

ZTTとTTT高値の原因

TTTはチモール混濁テストの略であり、ZTTは硫酸亜鉛混濁試験の略である。 ZTTはγグロブリンの総量に比例して反応するが、TTTはグロブリンの中でもとりわけIgGと相関することが知られていて、一般的に肝臓機能の検査で用いられる。 TTTやZTTの検査では原理と…