つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

消化器

PTGBDの適応

PTGBD(胆嚢ドレナージ)の適応は? イラスト参照:https://plaza.rakuten.co.jp/thm/342935/g710/ 中等症以上の急性胆嚢炎では原則手術により胆嚢摘出を行うが、手術が行えない場合はPTGBDなどの胆嚢ドレナージの適応となる。 手術が行えない場合とは以下の…

吐下血患者の出血量をHb値で判断してはならないという話

吐血、下血患者の採血で血中Hb(g/dl)は重要であるが、その値に振り回されてはならない。 ヘモグロビン濃度はあくまで濃度なので、急性に出血したばかりの患者では突然減少するものではない。つまり、吐血患者を採血してHbが10g/dlほどあっても実は大量出血で…

緊急下部消化管内視鏡の適応

下血においていつ緊急下部内視鏡検査を行うか 下部消化管出血は上部消化管出血に比べて安静のみで止血が得られることが多く、緊急で下部消化管内視鏡検査を行われることは少ない。 全身状態が安定していて、慢性的な持続出血や少量出血では十分な前処置を優…

吐血(上部消化管出血)の原因疾患memo

上部消化管出血をきたす疾患一覧メモ ・食道静脈瘤破裂 ・特発性食道破裂 ・食道炎 ・マロリーワイス症候群 ・胃静脈瘤破裂 ・胃潰瘍、急性胃粘膜病変 ・胃がん ・デュラフォイ潰瘍:小さな粘膜欠損をともなう露出血管(動脈)からの大出血をきたす。全消化…

肝胆系酵素上昇の原因と鑑別

肝胆系酵素上昇の原因と鑑別 まずASTやALTなど肝逸脱酵素がメインで上がっているのか、それともALPやγGTPなど胆道系酵素がメインで上がっているのか、それとも両方とも上がっているのかをみる。 端的に言えば ・トランスアミナーゼ<500でALP>正常上限の3倍…

眼球結膜黄疸の感度

眼球結膜(つまり眼球の白いところ)の観察において重要なのは黄染と充血の有無。 何らかの原因により血中ビリルビン濃度が上昇すると、顔面、粘膜、そして全身の皮膚の色が黄色に変化していく。眼球結膜の黄疸は最もわかりやすく、最初に認識されると言われ…

Base Excessとは何か

●Base Excess(BE;ベースエクセス)とは何か ベースとは塩基、エクセスとは過剰の意味。つまりベースエクセスとは塩基がどの程度過剰かを意味する用語である。具体的には「体温37℃ , pCO2が40Torrにある血液をpH7.40に戻すために必要な塩基の量」と定義される…

急性膵炎の初期治療で大量輸液が必要なのは何故か

急性膵炎の初期治療で大量輸液が必要という話 とある日外会誌によれば 急性膵炎の重症例の第一病日では7,000~8,000ml/day、第二病日では4,000~5,000ml/day 中等症においては第一病日に4500~5000ml/day、第二病日以後2000-2500ml/dayの輸液を要する とされ…

便潜血陽性の意義とその感度

◯健康診断で便潜血陽性を指摘された場合の対応 便潜血は大腸がんのスクリーニングとして用いられるが、その感度は必ずしも高くない。便潜血には1回法と2回法があり、1回法の検査では進行大腸がんの感度が60%ほど、2回法では90%ほどと言われている(…

グル音で機械性イレウスと複雑性イレウスを鑑別する

グル音(腸蠕動音)は頻度だけでなく強度も評価したほうが良いという話。 グル音の頻度の判定は以下のように行う。 ・1分間で5回以上グル音が聞こえる→「正常」 ・1分間で常に聞こえ続ける→「グル音亢進」 (by腸炎、過敏性腸症候群、機械性イレウス) ・…

プルゼニドとラキソベロンの違い

プルゼニド®(センノシド)とラキソベロン®(ピコスルファートナトリウム)の違い ◯プルゼニド®(センノシド) プルゼニドはプロドラッグで腸内細菌によって分解されてレインアンスロンという物質になることによって大腸刺激性物質へと変換される。こういう…

虫垂炎の身体所見いろいろご紹介

虫垂炎の身体所見いろいろご紹介 ◯McBurney点の圧痛、Lanz点の圧痛 Mcburney点とは右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の外側1/3の点。虫垂の付着部の位置。 Lanz点とは左右の上前腸骨棘を結ぶ線の右外側1/3の点。虫垂の先端の位置。 虫垂炎ではこれらの点に限局する圧…

鼠径ヘルニアへの対応(メモ)

鼠径ヘルニアへの対応 鼠径ヘルニアは腹圧により影響を受ける。 立位で出現するが臥位になると消失する事がも少なくないので必ず立位で診察する。 また、息こらえやお腹に力を入れてもらい腹圧を上げる方法も効果的である。 鼠径ヘルニアの場所は鼠径靭帯よ…

「消化に良いものを食べてください」の具体例

腸炎患者などには消化に良いものを食べるように指導するが以下その一例 (ツイッターで落ちてた画像) ●原則 消化の良いものの原則としては胃の滞在時間が短い、刺激性がなく胃腸を荒らさない、食物繊維が少ないなど。 ●果物 果物は取りたくなるがみかんやキ…

急性膵炎の検査におけるアミラーゼとリパーゼの違い

急性膵炎の検査におけるアミラーゼとリパーゼの違い アミラーゼは膵臓や唾液腺で分泌される消化酵素であり、膵臓以外の唾液腺の異常でも数値は上がる。リパーゼは脂肪を分解するための消化酵素であり膵臓の異常でより特異的に上昇する(ともに腎臓で排泄され…

大酒家と常用飲酒家の違い

大酒家と常用飲酒家の違い 大酒家とは日本酒を一日5合以上飲む人のこと。一般的に大酒家レベルの飲酒を10年以上続けると20%の人が肝硬変になると言われている。尚、恐ろしいことに大酒家は日本に200万人以上いるとされており、突然死のリスクがある。…

PIDと虫垂炎を鑑別する3つのポイント

PIDとは若い女性に好発する上部生殖管の感染症。子宮内膜や卵管、付属器は本来無菌状態であるが、下部生殖器の膣、外陰部、子宮頸部に感染した微生物が上行性に上部生殖器に波及するとPIDとなる。(PIDとはpelvic inflammatory diseaseの略= 骨盤内炎症性疾…

高アンモニア血症はどの程度から肝性脳症を引き起こすか

高アンモニア血症はどの程度から肝性脳症を引き起こすか 肝性脳症の原因物質としてアンモニアは有名であるが、必ずしもアンモニアが原因にならないということも同じぐらい有名である。とある論文によると高アンモニア血症は肝性昏睡に対して感度37.5%、特異…

羽ばたき振戦の意義(+動画)

羽ばたき振戦とは患者の両上肢をまっすぐと伸ばしてもらい、手関節を背屈させた状態で保持するように指示すると筋緊張の消失と手関節の緊張による背屈位が交互に繰り返され、両手をパタパタと羽ばたかせるようにみえる徴候。固定姿勢を保持できないことから…

急性胃炎への対応

急性胃炎(急性胃粘膜病変)への対応 ◯急性胃炎とは 急性びらん性胃炎、出血性胃炎、急性胃潰瘍を総称した概念。 ◯症状 突然の心窩部痛、嘔気、吐血、下血など。 その他食欲低下や腹部膨満などもある。 ◯原因 ストレス:精神的なストレスに加え、身体的なス…

PPIを食前に服用する理由

PPI(proton pump inhibitor)は胃壁細胞のプロトンポンプに結合することで胃酸分泌を抑制する薬である。逆流性食道炎などの治療で用いられる。 PPIの例としてオメプラール、タケプロン、パリエット、ネキシウムなど。 PPIがプロトンポンプに結合するために…

胆石発作として帰して良いのか

胆石に対するアプローチ 胆石は症状がなくても人間ドッグなどで偶発的に発見されることも多い。症状がなければ基本的に無治療で経過観察としても良い。が、年間3%前後の確率で症状を発症する可能性があり、また胆嚢がん患者では高率で胆石を認めるので無症…

急性胆嚢炎の診断基準と入院適応

急性胆嚢炎の診断基準 急性胆嚢炎・胆管炎診療ガイドラインによると… 【急性胆嚢炎の診断基準】 ・マーフィーサインなどの腹部所見 ・発熱、CRP上昇、白血球上昇などの炎症反応 ・腹部CTや腹部エコーなどの画像検査 この3つを満たしているものを急性胆嚢炎…

Howship-Romberg徴候とは何か

Howship-Romberg徴候とは何か 閉鎖孔ヘルニアで見られる特徴的な所見。 ヘルニア内容が閉鎖神経を圧迫することにより大腿内側から膝、下腿にかけて痛みやしびれが生じる。股関節の伸展、外転、内旋で痛みが増強する。大腿屈曲で軽減。 閉鎖孔ヘルニアはヘル…

腸炎の下痢患者に甘いもの禁忌な理由

腸炎の下痢で甘いものはダメで脂肪はそこまでダメじゃないという話 急性腸炎の下痢は主に3つのタイプがある(おさらい) 1,分泌性下痢: 小腸において水や電解質の分泌が亢進し吸収が追いついていない状態。例えばコレラでは腸管粘膜のGタンパク質を介し…

便培養をいつ取るか

便培養の適応 便培養とは便に含まれる微生物を培養し、分離同定することであり感染性腸炎の原因菌の診断に必要になる。感染性腸炎には主にウィルス性の腸炎と細菌性腸炎とがあるが、ウィルス性腸炎の場合、細菌ではないので培養は出来ない。よって、便培養は…

サルモネラの分類(腸チフスと食中毒)

サルモネラは人間の消化管内に常在する腸球菌であるが、一部のサブタイプは感染することで病原性を示す。 サルモネラは色んな分類の仕方があるが、臨床的には ①腸チフスやパラチフスという重篤な疾患を引き起こすタイプ ②食中毒性腸炎の原因となるタイプ に…

感染性腸炎っぽい他の怖い疾患

感染性腸炎の診断は他の疾患が除外されて、更に下痢、腹痛、嘔気の3徴を認めた時になされると教科書的には説明されている。現実的には感染性腸炎以外の疾患を全て除外し切るのは不可能に近いが、どんな疾患が腸炎類似の症状を呈しうるのか知っておくのは大…

旅行者下痢症の定義とその原因

旅行者下痢症とは旅行中に感染した下痢症の総称。症状は旅行後に出現する場合も少なくない。 「感染症の謎999」では症状として腹部症状に加えて一日に3回以上の排便を旅行者下痢症と定義されている。 「内科診療リファレンス」では「熱帯地域到着後一週…

感染性腸炎で抗菌薬治療を考える時

感染性下痢症に抗菌薬は必要なのか。 感染性腸炎の原因は大きく分けてウィルス性と細菌性とがある。 抗菌薬は細菌を殺す薬なので当然であるがウィルス性腸炎には効かない。 逆に細菌性の腸炎であれば全例抗菌薬を使っていいのかというとそういうわけでもない…