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とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

Howship-Romberg徴候とは何か

Howship-Romberg徴候とは何か 閉鎖孔ヘルニアで見られる特徴的な所見。 ヘルニア内容が閉鎖神経を圧迫することにより大腿内側から膝、下腿にかけて痛みやしびれが生じる。股関節の伸展、外転、内旋で痛みが増強する。大腿屈曲で軽減。 閉鎖孔ヘルニアはヘル…

腸炎の下痢患者に甘いもの禁忌な理由

腸炎の下痢で甘いものはダメで脂肪はそこまでダメじゃないという話 急性腸炎の下痢は主に3つのタイプがある(おさらい) 1,分泌性下痢: 小腸において水や電解質の分泌が亢進し吸収が追いついていない状態。例えばコレラでは腸管粘膜のGタンパク質を介し…

便培養をいつ取るか

便培養の適応 便培養とは便に含まれる微生物を培養し、分離同定することであり感染性腸炎の原因菌の診断に必要になる。感染性腸炎には主にウィルス性の腸炎と細菌性腸炎とがあるが、ウィルス性腸炎の場合、細菌ではないので培養は出来ない。よって、便培養は…

サルモネラの分類(腸チフスと食中毒)

サルモネラは人間の消化管内に常在する腸球菌であるが、一部のサブタイプは感染することで病原性を示す。 サルモネラは色んな分類の仕方があるが、臨床的には ①腸チフスやパラチフスという重篤な疾患を引き起こすタイプ ②食中毒性腸炎の原因となるタイプ に…

感染性腸炎っぽい他の怖い疾患

感染性腸炎の診断は他の疾患が除外されて、更に下痢、腹痛、嘔気の3徴を認めた時になされると教科書的には説明されている。現実的には感染性腸炎以外の疾患を全て除外し切るのは不可能に近いが、どんな疾患が腸炎類似の症状を呈しうるのか知っておくのは大…

旅行者下痢症の定義とその原因

旅行者下痢症とは旅行中に感染した下痢症の総称。症状は旅行後に出現する場合も少なくない。 「感染症の謎999」では症状として腹部症状に加えて一日に3回以上の排便を旅行者下痢症と定義されている。 「内科診療リファレンス」では「熱帯地域到着後一週…

感染性腸炎で抗菌薬治療を考える時

感染性下痢症に抗菌薬は必要なのか。 感染性腸炎の原因は大きく分けてウィルス性と細菌性とがある。 抗菌薬は細菌を殺す薬なので当然であるがウィルス性腸炎には効かない。 逆に細菌性の腸炎であれば全例抗菌薬を使っていいのかというとそういうわけでもない…

大腸型下痢症と小腸型下痢症の違い

急性下痢症の大腸型と小腸型の違い ◯大腸型の腸炎は炎症性の腸炎とも呼ばれ、腸管粘膜の障害によって起こる。 →血が出ることが多い。 ◯小腸型の腸炎は非炎症性であり、毒素による腸管分泌が促進することによって起こる→血は出ずに水溶性の下痢であることが多…

ロキムコとは何か(→NSAIDS潰瘍の予防)

ロキムコとは何か ロキムコとはロキソニン+ムコスタを合わせた俗語。 NSAIDS鎮痛薬であるロキソニンは胃粘膜障害をしてしまうので、それを保護する意味合いで胃薬であるムコスタ(レバミピド)が一緒に処方されることが多い。ムコスタは胃粘膜でのプロスタ…

ICUでのストレス潰瘍の予防とその適応

ストレス潰瘍とは身体的および精神的にに何らかのストレスがかかることにより上部消化管に潰瘍が生じることを言う(文字通り)。ICUに入室するような患者では高度に身体的な侵襲を受けており、さらにそれに対する治療によっても医原性な侵襲が加わっている。…

わさびでアニサキスの活動が抑制されるという話

【twitterの投稿ほぼ流用】 イカやサバの生食で感染する寄生虫アニサキスはわさびや醤油に10分間浸すことで組織侵入能力が喪失するというエビデンスはあるが、わさびや醤油に10分浸されたイカやサバの生食が美味であるというエビデンスは存在しない。 【…

アニサキスへのアプローチ@救急外来

アニサキスは寄生虫の一種であり、イカ、サバの生食を経口摂取することが発症する。他の海産物でもなりうる。 ◯疫学:日本においては年間2000例前後。冬に多い。 ◯身体所見:特異的なものはないので、病歴がなによりも大事。 ◯臨床経過: 感染したアニサ…

腸閉塞を示唆する病歴と身体所見

腸閉塞を示唆する病歴と身体所見 陽性尤度比の高い順に… 肉眼的腸蠕動(21) 便秘の病歴(8.76) 腹部膨満(6.07) 腹部全体の圧痛(5.13) 嘔吐後に症状軽快(4.3) 腸蠕動音亢進(3.47) 腹部全体の腹痛(3.32) 腸蠕動音低下(3.18) 間欠痛(2.9) 食事で腹痛増…

小腸閉塞のレントゲン所見(3✕3ルール)

腸閉塞のレントゲン所見(3✕3ルール) 腸閉塞において腹部レントゲン撮影は簡易に取れて感度も高いので有用。 3✕3のルールというものがある。 ・小腸径が3cm以上であれば拡張(厳密には2.5cmでも拡張としてよい) ・小腸ニボーが3ヶ所以上あれば異常(…

大腸憩室炎のCT所見

憩室とは 大腸憩室は大腸の一部が袋状になって外に飛び出しているものをいう。40歳以上で徐々に増加することが知られ、45歳以上の3人に1人、80歳以上の3人に2人が憩室を持つとも言われている。日本人では欧米に比べると頻度はまだ少ないが食生活の…

虫垂炎=右下腹部痛という訳でもない

虫垂炎の典型例では心窩部から右下腹部に痛みが移動する。 が、虫垂炎の位置、大きさは患者により様々であり更に後腹膜などに固定されている臓器でもないので痛みは必ずしも右下腹部にあるわけではない。 とある論文(記事下参照)によると虫垂の解剖学的位…

腸閉塞とイレウスの違い

日本において腸閉塞とイレウスは同じように「腸が詰まった」というような意味で混同されがちであるが欧米では異なる言葉として使われている。日本の医学用語としては麻痺性イレウス、単純性イレウス、絞扼性イレウスなどがあるが、この中で厳密にイレウスな…

機能性便秘の診断基準(ローマⅢ)

便秘を主訴に来院する患者にすぐに下剤を投与してはならず、問診により便秘の原因を探る。便秘は器質性便秘、薬剤性便秘、機能性便秘などに分類される。 ◯器質的便秘:悪性腫瘍(大腸がん)、術後狭窄、炎症性狭窄、ヘルニアなど ◯薬剤性便秘:オピオイド、N…

筋性防御と筋硬直、板状硬の違い

■筋性防御と筋硬直、板状硬の違い 筋性防御とは腹部の触診の際に患者が自分で痛みを自覚しているために自分の意思で腹筋に力を入れて痛みを和らげようとする徴候のこと。 筋硬直とは腹壁の腹膜に激しい炎症が及ぶと、同部位の筋肉が患者の意思とは関係なく反…

虫垂炎の症状の出現する順番

虫垂炎では症状の発症する順番はある程度決まっている 半日〜2日ぐらいの経過で次のように症状が出現する。 1,心窩部痛 2,嘔気、嘔吐、食欲不振 3,右下腹部の圧痛 4,発熱 5,白血球増加 ・認められない症状があることはあっても順番が逆になること…

吐血による緊急内視鏡の適応

上部消化管出血患者でいつ緊急内視鏡を行うべきか。 それを判断するスコアとしてはBlatchford scoreが有名 【Blatchford Score】参照:lancet.2000 oct 14;356(9238);1318-21 ◯収縮期血圧(出血量が多いと当然血圧は下がる) 100〜109mmHg:1点、90-99mmHg…

vibrio vulnificusが肝硬変患者に多く発症する理由

vibrio vulnificus感染症が肝硬変患者に多く発症する理由 【vibrio vulnificusとは】 vibrio vulnificus(ビブリオ・バルニフィカス)とはビブリオの一種で壊死性筋膜炎を起こすことから日本では人食いバクテリアとも呼ばれる菌の一種である。 生息域は腸炎…

便秘患者へのアプローチ@救急外来

便秘患者へのアプローチ@救急外来 【便秘の分類】 ◯器質的便秘:悪性腫瘍(大腸がん)、術後狭窄、炎症性狭窄、ヘルニアなど ◯薬剤性便秘:オピオイド、NSAIDS、抗コリン薬、利尿薬、抗精神病薬、カルシウムブロッカー、などの副作用 ◯症候性便秘;妊娠、糖…

大腸穿孔に大網充填しない理由

大腸穿孔に大網充填しない理由 イラスト引用:http://www.med.akita-u.ac.jp/~geka1/03-01.html 胃穿孔では大網を充填することで閉鎖を期待できるが、大腸穿孔症例に関して大網充填術を行うことは通常ない。胃の場合組織が分厚いので大網を充填するだけでし…

便秘の鑑別と検査

【便秘の鑑別】 大腸がん 問診:便秘、血便、体重減少、食欲不振、嘔気・嘔吐 所見:腹部腫瘤、直腸診での腫瘤触知 検査:便潜血、大腸内視鏡 ☆50歳以上で大腸内視鏡検査歴のない患者ではスクリーニング目的で大腸内視鏡施行を考慮してもよい。 腸閉塞 問…

グル音の”亢進”、”正常”、”減弱”の違い

腹部の腸蠕動音(グル音)の聴診においてその音の頻度によって原因の鑑別をすることが可能である。 グル音の頻度の判定は以下のように行う。 ・1分間で5回以上グル音が聞こえる→「正常」 ・1分間で常に聞こえ続ける→「亢進」 (by腸炎、過敏性腸症候群、…

胃瘻と中心静脈栄養の違いと適応

胃瘻と中心静脈栄養の違いと適応 胃ろうと中心静脈栄養は嚥下障害などで経口的に食べ物を摂れない人の栄養管理のために行われる処置である。 ・胃瘻は内視鏡を用いて胃と皮膚の間に瘻孔を作り、外部からカテーテルによって栄養を入れる方法である。 ・中心静…

胃管とイレウス管の違い

【経鼻胃管】 経鼻胃管(NGtube)とは鼻から長いチューブを入れて胃とつなげる処置の際に用いる管を言う。治療だけでなく診断目的にも用いられる。 http://kango.pw/archives/1268 (適応) 胃内容物の吸引:上部消化管出血 胃洗浄:薬物中毒など 胃の減圧:…

虫垂炎の診断スコア:MANTREELS

虫垂炎の診断スコア:MANTREELS Alvarado scoreという診断スコアがある。以下の8項目(合計10点満点)中5点以上であれば虫垂炎が疑われる。7点以上であれば強く疑われる(7点以上の場合の感度は76.3%、特異度は78.8%)。勿論スコアが高くても虫垂炎で…

運動不足で大腸がんになりやすい理由

運動不足で大腸がんになりやすいのは何故か 運動不足は生活習慣病のリスクであることは有名であるが、悪性腫瘍も例外ではない。特に大腸がんと運動不足の関係性は強く指摘されていてほぼ間違いないだろうと考えられている。 最も有力な仮説として… 運動不足…

穿孔と穿通の違い

穿孔とは消化管、血管、気管支、尿管などの管腔臓器に全層性の穴が開いた状態のことを言う。消化管に穴が空いた場所が隣接する臓器や組織によって被覆されている場合は穿通と定義される。つまり穴が開きっぱなしは穿孔、一応は塞がってる状態は穿通。 胃や十…

肝濁音界が消失する原因

そもそも肝濁音界とは: 腹部を打診するときにその場所に何の臓器があるかによって聞こえる音が異なる。 例えば叩いた所に腸管などの空気が溜まっていたらポンポンと高い鼓音がするし、肝臓や脾臓などの実質臓器を叩けば重い低調な音が聞こえる(=濁音)。 …

急性膵炎で低下するものの覚え方

急性膵炎では血中カルシウム、血中タンパク、血中酸素濃度、血小板数が低下する。 覚え方としてはCTOPが忘れにくくておすすめ。試験によく出ます。 C;calcium T;total protein O:O2 P:platelet

S状結腸軸捻転でcoffe bean signとなる話

S状結腸軸捻転とは腸間膜を軸として腸が180度以上ねじれて腸閉塞(イレウス)をきたした状態である。症状としては突然の腹痛・腹部膨満が典型的で、また本症では血管を巻き込んでねじれることが多いので絞扼性イレウスとなることも少なくない。 ”コーヒー…

収縮性心膜炎で蛋白漏出性胃腸症となる理由

収縮性心膜炎で蛋白漏出性胃腸症となる機序 収縮性心膜炎とは慢性的な炎症により心膜が線維性に肥厚、癒着、石灰化して心室の拡張が障害される疾患である。特発性が50%を占めるが、結核が原因となることも多い。 収縮性心膜炎では心室が広がらないので心…

肝硬変でメデューサの頭が見られるのは何故か

肝硬変などの原因によって門脈圧が上昇して約250mmH2O以上になると門脈と大循環の間に側副血行路が発達して様々な病態を引き起こす。 門脈圧が高くなると門脈に入れずにUターンして臍帯静脈に流れ込み、下大静脈に向かう。この血液量が多くなると腹壁皮下静…

胃潰瘍からの吐血が”コーヒー残渣様”となる理由

消化管のどこから出血するかで吐血の性状が異なるという話 食道や胃などの上部消化管(特にトライツ靭帯よりも口側)で出血をきたすと口から血液が吐き出される吐血となるが、その血液の性状・色合いはどの程度胃酸に曝されるかによって異なる。 なぜなら赤…

裂肛でみられる”見はりイボ”とは何か

裂肛とは便秘などによる硬い便をいきんで出した時に生じる肛門の傷であり、俗語的には”切れ痔”に相当する。裂孔は数日で回復するが、再発を繰り返してしまうと炎症は慢性的なものとなり、裂肛の外側には見はりイボが見られるようになる。 画像引用元:http:/…

肝庇護とは何か

C型肝炎の治療においてインターフェロン療法が無効であった時に考慮される。肝庇護薬療法としてグリチルリチン製剤とウルソデオキシコール酸がある。 グリチルリチン製剤 グリチルリチン製剤は肝細胞膜に作用することで肝細胞外へのAST、ALTの流出を抑制する…

急性膵炎の治療でヒスタミンH2受容体拮抗薬を用いる理由

【急性膵炎とはどんな病気か】 急性膵炎とは膵臓内で活性化された膵臓の酵素が膵臓自体、あるいはその周辺の組織を自己融解してしまう炎症疾患である。原因としては男性ではアルコール、女性では結石が代表的。症状としては腹痛、発熱、呼吸困難、ショックな…

肝不全による低アルブミン血症の治療法とその意味

肝臓ではタンパク質であるアルブミンの産生を行っているために、肝不全となり肝臓の機能が低下するとアルブミンの合成量も低下してしまい、低アルブミン血症が引き起こされる。 低アルブミン血症では血漿浸透圧が低下している状態(つまり血液が薄い状態)な…

シングルバブル、ダブルバブル、トリプルバブルサインの違い

シングルバブル、ダブルバブル、トリプルバブルサインの違い シングルバブル、ダブルバブル、トリプルバブルサイン、これらはいずれも消化管の閉鎖、狭窄によって出現するレントゲン状の所見である。紛らわしいので整理。 Single bubble signとは:肥厚性幽…

カレン徴候とグレイターナー徴候とは(メモ)

急性膵炎はアルコールや胆石などを原因として膵臓の腺房細胞が障害されてトリプシンなどの消化酵素が膵臓の外に漏れ出ることにより起こる。 皮膚症状として暗赤色の皮下出血斑が出現することが知られていて、膵臓周囲に滲出した血性浸出液が皮下に移動するこ…

膵真性嚢胞と膵仮性嚢胞の違い

膵嚢胞についてメモ的まとめ 膵嚢胞は真性嚢胞と仮性嚢胞に分けられる。 ■仮性嚢胞とは… 嚢胞に上皮がない。 急性膵炎や外傷をきっかけに生じる(膵液が漏れることで炎症が生じるため)。 小さいと自然に吸収されるので保存的治療。しかし治らない時は感染症…

内痔核と外痔核の違い

□痔核の原因 痔核とはそもそも直腸や肛門の静脈叢がうっ滞して出来た静脈瘤である。 原因として以下のものが挙げられる。 1:門脈圧亢進症 肝硬変などで門脈圧が亢進すると、直腸静脈叢の血液は下腸間膜静脈に流入しづらくなり、内腸骨静脈経由で心臓に還ろ…

びらんと潰瘍の違い

びらんと潰瘍の違い 「びらん」「潰瘍」はカラダのどこに出来るかによって定義が若干異なる。 ■皮疹の場合(皮膚科領域) 「びらん」とは表皮基底層までの欠損であり、水泡や嚢胞などに続発する皮疹である。あとに瘢痕を残さない。 「潰瘍」とは表皮のみなら…

ZTTとTTT高値の原因

TTTはチモール混濁テストの略であり、ZTTは硫酸亜鉛混濁試験の略である。 ZTTはγグロブリンの総量に比例して反応するが、TTTはグロブリンの中でもとりわけIgGと相関することが知られていて、一般的に肝臓機能の検査で用いられる。 TTTやZTTの検査では原理と…

pivkaⅡ上昇の原因と偽陽性について

pivkaⅡとはprotein induced by vitamine K absence or antagonist-Ⅱの略である。日本語で言えばビタミンK欠乏状態で誘導されるタンパク質ということになる。臨床的にはPIVKA2が陽性であれば肝臓がんが疑われる。肝細胞癌の腫瘍マーカーとして他にはAFPやAFP-…

陰イオン交換樹脂で高コレステロール血症の治療が出来る理由

陰イオン交換樹脂の作用機序 ■まず腸肝循環について ファーター乳頭から分泌される胆汁に含まれる胆汁酸はコレステロールから作られている。材料となるコレステロールも無限にあるというわけではないので一度腸管内に分泌された胆汁酸も再び再吸収されて肝臓…

下血と血便の違い

まず吐血と下血の違い 消化管での出血は口か肛門のどちらかの出口から排出されることになるが、胃より口側の出血は口から出るので【吐血】となり十二指腸よりも肛門側での出血の場合は肛門から出るので【下血】と分類されている。 下血と血便の区別 下血の性…