つねぴーblog

元「とある研修医の雑記帳」。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

感染症

バンコマイシンはいつ使うか

【バンコマイシンとは】 ・バンコマイシンは糖ポリペプチドでグリコペプチド系抗菌薬に用いられる。 ・スペクトラムとしてはほとんど全てののグラム陽性菌(球菌、桿菌)に有効であり、殺菌的に働く。黄色ブドウ球菌に対して1958年から用いられるように…

脾臓摘出患者に肺炎球菌ワクチンを打つ理由

肺炎球菌は莢膜という膜を持つため好中球の貪食に抵抗性を示す。 故に、肺炎球菌防御の主体は脾臓によるトラップということになるが、何らかの理由により脾臓摘出している患者では肺炎球菌の病原性をもろに食らうことになるため、抑えることが出来ずに短時間…

グラム陽性球菌の覚え方と臨床的なポイント

◯グラム陽性球菌の覚え方 【ゴロ】 要求したブドウは超急には配送されんさ 1 ̄ 2 ̄ ̄ 3 ̄ 4 ̄ ̄ 5 ̄ ̄ 1陽性球菌 2ブドウ球菌(黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌) 3腸球菌 4肺炎双球菌 5レンサ球菌 黄色ブドウ球菌 ・健常人でも3−4割の人が保菌…

ピペラシリン・タゾバクタム(ゾシン®)はいつ使うか

ペニシリン系抗菌薬には ・天然ペニシリン(ペニシリンG) ・アミノペニシリン(アンピシリン、アモキシシリン) ・ウレイドペニシリン(ピペラシリン) ・βラクタマーゼ阻害薬との合剤(アンピシリン・スルバクタム、ピペラシリン・タゾバクタム、アモキシシ…

メロペネムはいつ使うか

メロペネム(メロペン®)はいつ使うか、その適応 ◯メロペネムの作用機序 メロペネムはカルバペネム系抗菌薬の一種であり、βラクタム系抗菌薬に分類される。βラクタム環を有し、PBP(ペニシリン結合タンパク質)に結合し、細菌の細胞壁合成を阻害することで細…

カルバペネム系でメロペネムが好まれる理由

現在日本で使えるカルバペネムは以下のものがある。 イミペネム・シラスタチン(チエナム®) メロペネム(メロペン®) パニペネム・ベタミプロン(カルベニン®) ビアペネム(オメガシン®) ドリペネム(フィニバックス®) カルバペネム系は非常に広域の抗菌…

溶連菌感染症疑いにペニシリン投与して良いのか

溶連菌感染症では第一選択的にアモキシシリン(サワシリン®)が用いられる。溶連菌感染症への治療ではそれで良いのだが、発熱、咽頭痛、扁桃の腫大、咳がなしなどの症状がそろっていても咽頭培養をしないことにはあくまで”疑い”である。 溶連菌感染症と類似…

細菌性副鼻腔炎における抗生剤の選択は?

細菌性副鼻腔炎の原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラなどが代表的。これらは中耳炎の原因菌とほぼ同様である(何故なら副鼻腔炎と中耳は解剖学的に連絡しているため)。 米国感染症学会(IDSA)による副鼻腔炎ガイドラインではエンピリカルな治…

レジオネラ肺炎の簡易予測スコア

ある報告によるとレジオネラ肺炎は以下の項目が簡易の診断基準となりうる。 【レジオネラ6項目】 ・体温39.4度以上 ・痰がない ・血中Na<133mEq/l ・LDH>225U/L ・CRP>18.7mg/dl ・血小板<17.1万 この6項目中4項目以上満たせばレジオネラの可能性66%、…

破傷風のリスクのある汚染創とは

破傷風のリスクのある汚染創とは American college surgeons committee(ACS)によれば破傷風リスクのある傷は以下の通り。破傷風は致死率が非常に高いので予防が何よりも重要。 予防接種歴がなく、更に以下のようなリスクのある場合は積極的に破傷風トキソ…

デング熱の特徴メモ

海外渡航歴でいつデング熱を疑うか ◯デング熱とは デング熱はネッタイシマカなどの蚊によってウィルスが媒介されることで発生する感染症である。熱帯や亜熱帯の全域で流行しており、東南アジア、南アジア、中南米で患 者の報告が多い。 ◯潜伏期間は3日〜1…

伝染性単核球症の患者はとにかくしんどそう

EBウィルスによる伝染性単核球症の3徴は発熱、咽頭痛、リンパ節腫脹。 それに加えて頭痛や筋肉痛、咳、鼻水なども呈することがある。 臨床症状的には普通の風邪(ウィルス性上気道炎)にかなり似ているが、症状はより長期化し、また肝機能障害も呈するため…

肺結核がS1,2,6に好発する理由

肺結核は上葉の肺尖部(S1,S2,S1+2)や背側の区域(S6)に好発。 画像参照:http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w1.html その理由としては結核菌は偏性好気性菌(酸素がないと生きていけない菌)であるために肺の中でも酸素濃度の高い場所に生…

急性副鼻腔炎で抗菌薬治療の適応

急性副鼻腔炎の診断については過去エントリ:副鼻腔炎をいつ疑うか。感度と特異度 - とある研修医の雑記帳を参照 副鼻腔炎にはウィルス性と細菌性どちらもあるが、多くはウィルス性でいわゆる風邪に伴うもの。ウィルス性であれば7〜10日程度で自然軽快す…

副鼻腔炎をいつ疑うか。感度と特異度

副鼻腔炎とは イラスト参照:副鼻腔炎の症状、手術 | 細田耳鼻科 副鼻腔炎にはウィルス性副鼻腔炎と細菌性副鼻腔炎とがある。 ウィルス性副鼻腔炎はいわゆる風邪とも言える。ウィルスは一般的に拡散力が強く、副鼻腔にとどまらず咽頭や気道の方にも感染する…

便培養をいつ取るか

便培養の適応 便培養とは便に含まれる微生物を培養し、分離同定することであり感染性腸炎の原因菌の診断に必要になる。感染性腸炎には主にウィルス性の腸炎と細菌性腸炎とがあるが、ウィルス性腸炎の場合、細菌ではないので培養は出来ない。よって、便培養は…

イソジンとアルコール消毒、どっちが有能?

イソジンとアルコール消毒、どっちが有能? 消毒の際に用いられるイソジンとアルコールであるがどちらのほうがより殺菌能力は強いのであろうか。どこを消毒するかや医療機関によってどちらを選択するかは様々であろうが、どちらがより殺菌能力があるかを調べ…

サルモネラの分類(腸チフスと食中毒)

サルモネラは人間の消化管内に常在する腸球菌であるが、一部のサブタイプは感染することで病原性を示す。 サルモネラは色んな分類の仕方があるが、臨床的には ①腸チフスやパラチフスという重篤な疾患を引き起こすタイプ ②食中毒性腸炎の原因となるタイプ に…

感染性腸炎っぽい他の怖い疾患

感染性腸炎の診断は他の疾患が除外されて、更に下痢、腹痛、嘔気の3徴を認めた時になされると教科書的には説明されている。現実的には感染性腸炎以外の疾患を全て除外し切るのは不可能に近いが、どんな疾患が腸炎類似の症状を呈しうるのか知っておくのは大…

旅行者下痢症の定義とその原因

旅行者下痢症とは旅行中に感染した下痢症の総称。症状は旅行後に出現する場合も少なくない。 「感染症の謎999」では症状として腹部症状に加えて一日に3回以上の排便を旅行者下痢症と定義されている。 「内科診療リファレンス」では「熱帯地域到着後一週…

感染性腸炎で抗菌薬治療を考える時

感染性下痢症に抗菌薬は必要なのか。 感染性腸炎の原因は大きく分けてウィルス性と細菌性とがある。 抗菌薬は細菌を殺す薬なので当然であるがウィルス性腸炎には効かない。 逆に細菌性の腸炎であれば全例抗菌薬を使っていいのかというとそういうわけでもない…

蜂窩織炎へのアプローチ

・蜂窩織炎(蜂巣炎)とは 深部皮下結合組織において起こる皮膚感染症で、下肢や顔面、手などに好発するが身体のどこにでも生じうる。境界は不明瞭で圧痛、熱感、浮腫などを呈する。 似た感染症として丹毒があるが、丹毒はより表層の皮下組織を侵す。 【皮膚…

結核喀痰検査:塗抹、培養、PCRの違い

結核喀痰検査:塗抹、培養、PCRの違い 塗抹とは 【利点】 短時間でできる 手技も簡単 【欠点】 感度が低い 菌株名まではわからない 死んでる結核菌や非結核性抗酸菌も陽性となってしまう。結核治療中の患者の喀痰には死んだ結核菌がたくさんいるので喀痰塗抹…

インフルエンザ菌とインフルエンザウィルスの違い

「インフルエンザ」と言えば一般的にはインフルエンザウィルスによる感染症を意味するが、紛らわしいことにインフルエンザ菌という細菌も存在する。 インフルエンザは臨床的には感染すると急激な発熱、上気道症状、関節痛や倦怠感などの全身症状を呈する。タ…

BLNARとは何か

BLNARとはインフルエンザ菌の一種。 ◯βラクタムに耐性の持ったインフルエンザ菌の出現 インフルエンザ菌とはグラム陰性の球桿菌の一種で肺炎、中耳炎、副鼻腔炎など様々な感染症を引き起こす。第一選択薬はβラクタム系のアンピシリンであるが使いすぎたため…

わさびでアニサキスの活動が抑制されるという話

【twitterの投稿ほぼ流用】 イカやサバの生食で感染する寄生虫アニサキスはわさびや醤油に10分間浸すことで組織侵入能力が喪失するというエビデンスはあるが、わさびや醤油に10分浸されたイカやサバの生食が美味であるというエビデンスは存在しない。 【…

アニサキスへのアプローチ@救急外来

アニサキスは寄生虫の一種であり、イカ、サバの生食を経口摂取することが発症する。他の海産物でもなりうる。 ◯疫学:日本においては年間2000例前後。冬に多い。 ◯身体所見:特異的なものはないので、病歴がなによりも大事。 ◯臨床経過: 感染したアニサ…

インフルエンザ濾胞とは何か(+写真)

インフルエンザ患者の咽頭後壁には特徴的なリンパ濾胞が出現することが知られている(=インフルエンザ濾胞)。半球形で周囲の色調に比べて紅色(周囲が白色)になり境界明瞭の濾胞になる。緊満で光沢を帯びているように見えるためイクラ様とも例えられる。 …

インフルエンザの診断基準と迅速検査の適応

インフルエンザの診断基準と迅速検査の適応 インフルエンザ診断マニュアルによると 「インフルエンザ流行期に以下の4つを満たす場合にインフルエンザと診断される」 ・突然の発症 ・高熱 ・上気道症状 ・全身倦怠感などの全身症状 非常に簡潔でわかりやすい…

「発熱がないから化膿性関節炎は否定的」とも言えない

「関節が発赤して痛がっているが、熱もなく化膿性関節炎は否定的」と思ってしまうこともあるが実際には発熱のない化膿性関節炎もそれなりに有るようだ。 とある報告によれば 発熱の感度は57% 関節腫脹の感度は78% 関節痛の感度は85% とのこと。化膿…