つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

心電図

”変行伝導を伴う上室期外収縮”とは何か

”変行伝導を伴う上室期外収縮”とは何か 期外収縮についてイマイチな場合は↓エントリーも参照下さい。 tsunepi.hatenablog.com 上室期外収縮は本来QRSはnarrowであるはずだが、”変行伝導を伴う上室期外収縮” ではQRSはwideになる。故に上室期外収縮でありなが…

ST上昇はどこを見て判定すればよいのか

心電図におけるST上昇とはどこを見て判定すればよいのか STが上昇しているかいないのか、虚血性心疾患を鑑別するために非常に重要なことである。STとはQRSの終了部分のJ点からT波の開始部分までのことをいう。J点とはQRSが終わって最初にある変曲点のことで…

上室期外収縮と心室期外収縮の違い

上室期外収縮と心室期外収縮の違い イラスト参照”https://nurseful.jp/career/nursefulshikkanbetsu/cardiology/section_1_03_01/ 期外収縮とは文字通り、期待から外れた収縮のこと。心臓の興奮は本来心房の洞房結節から始まるが、期外収縮ではそれ以外の場…

2枝ブロックと3枝ブロックの違い

⭐2枝ブロックと3枝ブロックの違い 通常の刺激伝導系では興奮は房室結節→HIS束→左脚&右脚へと伝わっていく。 左脚は左脚前枝、左脚後枝の2つに分かれ、右脚と合わせて3本の伝導路で構成されている。 1枝ブロック(ヘミブロック)とは左脚前枝ブロックも…

急性冠症候群(ACS)疑いへの対応@救急外来

心筋梗塞、狭心症疑いへの対応@救急外来 胸痛患者においていつACSを疑うか。以下のポイントに分けて考える ◯痛みのOPQRST ◯リスク因子 ◯血液検査 ◯心電図 ◯問診(痛みのOPQRST) 発症様式:突然発症(sudden onset)か急性発症(acute onset)か →発症の時…

移行帯の変化とそのメカニズム

心電図における移行帯とは 健常人の胸部誘導においてR波はV1からV5にかけて徐々に大きくなり、V6で少し小さくなる。S波はV2誘導で最も大きくなり、V3からV6にかけて少しずつ小さくなる。 R波とS波の高さが等しくなっているところを移行帯という。(R/S=1) …

左脚前枝ブロックが後枝ブロックより起こりやすい理由

左脚前枝ブロックが後枝ブロックより起こりやすいのは何故か 以下2つの理由があげられる。 1,前枝は後枝よりも細く長いため動脈硬化性病変の影響を受けやすい。 2,左脚前枝は左冠動脈前下行枝のみから栄養を受けているが、後枝は左冠動脈回旋枝と右冠動…

ヘミブロックの心電図とその意義

心臓の刺激伝導系において、洞結節から出た刺激は房室結節→ヒス束→右脚or左脚と流れ、最終的に右室もしくは左室へと伝わる。左脚は左脚主幹の後に前乳頭筋に向かう左脚前枝と後乳頭筋に向かう左脚後枝に分かれる。 【刺激伝導系のイメージ】 画像引用:http:…

心電図におけるサイナス(洞調律)の定義

心電図におけるサイナスの定義 【洞調律の一例】 画像参照:http://www.ecg-cafe.com/cat1/1-01 サイナス(sinus)は日本語で洞調律という。心電図で以下の条件をみたす場合に洞調律(サイナスリズム)とみなされる。 ・P波の次にQRS波が来る ・PQ時間が一定…

心電図電極つける色の覚え方

心電図電極つける色の覚え方 救急外来に患者が搬送されていた時にささっと電極を付けないと看護師さんにボコられるので迅速に動きましょう。 ■胸部誘導のつける順番のゴロ その1;せきぐちくん その2:あきみちゃくむ 赤、黄、グリーン、茶、黒、紫 イラス…

心電図T波増高の定義と原因

心電図T波増高の定義と原因 ◯T波とは T波とは心室の再分極を意味する心電図波形であるが、高カリウム血症などではこのT波の増高が見られる(=テント状T波)。T波は正常であれば1.2mV以下、もしくはQRSの高さの半分以下。 T波増高の定義は四肢誘導では0.5mV…

心電図PQ時間延長・短縮の原因

心電図PQ時間延長・短縮の原因 心電図においてP波とは心房の興奮、QRS波は心室の興奮を意味しているので、P波からQ波までの時間というのは心房の洞房結節で始まった電気刺激が房室結節、ヒス束、プルキンエ繊維を介して心室に到達するまでの時間を意味してい…

心電図:大文字表記と小文字表記の違い

心電図QRSとqrsの違いとダッシュ記号の意味 心電図はP波から始まりQRS波、ST部分、T波、U波と続く。 QRSとは心室の収縮時間を意味している。 QRSは通常大文字で書かれるイメージがあるが、qrsのように小文字表記の場合もあればRSR'のようなダッシュ記号の場…

巨大陰性T波の原因とその覚え方

陰性T波とはT波が基線より下向きになる心電図である。陰性T波自体は異常なものではない。aVRでは陰性T波が正常、V1,V2誘導では若年者や女性では健常人でも陰性T波になることがある。 が、左右対称の10mm以上の深い陰性T波は異常である(=巨大陰性T波) 巨大…

異常Q波の定義と機序(梗塞部位との関係)

異常Q波の定義と機序 異常Q波とは貫壁性の心筋梗塞に特徴的な心電図異常であり、次のように定義されている。 Q波の幅≧0.04秒(1mm)Q波の深さ≧R波の高さ×1/4 【異常Q波の例】 画像引用:http://ishikokkashiken.com/abnomal-q-wave/ ◯心筋梗塞の心電図診断…

右軸偏位と左軸偏位の見方とその原因

右軸偏位と左軸偏位の違い ✅電気軸の概念について心臓の興奮は洞房結節から始まり心房、心室という順に伝わる。左心室の興奮の大きさは右心室よりも大きいので全体の電気の流れとしては右心房から左心室の方向へと流れるといえる。(体の向き的には右上から…

右室肥大と左室肥大の心電図

✅左室肥大の心電図の見方 左室が肥大すると、左後上方に大きく偏位するため、V1からしてみたら遠ざかる方向のS波がより深く、左側誘導(Ⅰ・aVL・V5-V6)からしてみたら近づいてくるのでR波がより大きくなる。 ⭕左室肥大の診断基準 ①V1誘導のS波+V5誘導のR波…

右房負荷と左房負荷の心電図

✅正常のP波 洞調律の時は心房の興奮が前額面上では右上から左下に向かう。故に、心房興奮の平均ベクトルは0度〜90度の間であり、正常ならP波はⅠ、Ⅱ、aVFで陽性、aVRで陰性となる。水平断面上では心房興奮は右から左に向かうのでP波はV2〜V6で陽性である。…

右脚ブロックと左脚ブロックの違い

【脚ブロックの起こるメカニズム】 虚血や変性によって右脚・左脚の心筋が障害される。 ↓ 正常な興奮の伝導が阻害される。 ↓ 心室ではプルキンエ繊維による速い伝導から固有心筋細胞を遅く伝導する電気的興奮に依存するようになる。 ↓ 興奮の時間が延長する…

心房細動と心房粗動の違い

心房細動(AF)とは 心房の各部分の高頻度で無秩序な電気的興奮(多数のリエントリー回路)によって起こる。心房細動では左房内に血栓を生じやすく、それが流出して脳梗塞を合併することがあるので要注意。 心電図上の特徴 1:基線の細かな動揺(f波)(心房…