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とある研修医の雑記帳

東京から大阪の医学部へ亡命して研修医になった人のブログ。勉強のまとめ、思いつきの考察、ちょっとした雑学などなど。アウトプットが趣味です。

大動脈瘤の大きさの定義

大動脈瘤とは大動脈壁の脆弱化によって部分的に大動脈が膨隆した状態を言う。 大動脈の正常径は胸部で3cm、腹部で2cmとされている。上行大動脈で5cm,下行大動脈で4cm,また明らかに下方の大動脈が上部に比べて拡張している場合に大動脈瘤と定義される。(…

たこつぼ型心筋症と心筋梗塞の違い

たこつぼ型心筋症と心筋梗塞の違い たこつぼ型心筋症とは胸痛とST上昇など心筋梗塞に似た心電図変化を認めながら冠動脈の有意狭窄を認めない状態を言う。原因は明らかになっていないが、精神的あるいは身体的ストレスを受けた高齢女性に発症しやすいことが知…

QT延長の定義とその原因

◯QT時間とは QT時間とは心電図においてQRS波の始まりからT波の終わりまでの時間のこと。心筋の収縮時間を反映している。QTの距離が正常よりも長くなることをQT延長という。 画像引用:http://next-pharmacist.net/archives/5744 上のイラストのような心電図…

心筋梗塞を疑うST低下のパターン

ST低下には主に3つのパターンがある。 ・下降傾斜型(downsloping type) ・水平型(horizontal type) ・上行傾斜型(upsloping type) 心筋虚血に伴うST低下は下降傾斜型、水平型が多いと言われている。特に診断特異度が高いのは下降傾斜型。上行傾斜型は健…

補充収縮と補充調律の違い

心臓は洞房結節から規則正しく刺激が発生し、リズム的に心室を収縮させている。 が、洞房結節が何らかの原因で興奮できなくなると心臓もそう簡単に止まるわけにはいかないので代わりに房室接合部や心室が独自にリズムを作り出す。 房室接合部あるいは心室か…

心筋梗塞における心電図の推移

(まとめ) 急性心筋梗塞では発症後時間経過とともに特徴的な心電図変化を呈する。 【超急性期(発症直後〜数時間)】 ・hyper acute T波(ST上昇より早く見られるので見逃さないこと) ・典型的なST上昇(この時対側の誘導でST低下が見られる) 【急性期(…

QRS低電位差の定義と原因

QRSの振幅(基線から上下の差)が異常に小さくなっていることを低電位差という (下の心電図イラストで言えばa+bの値が小さくなっているときのこと)。 判定基準としては次の通り ・肢誘導の全てで5mm(0.5mV)未満の時を肢誘導の低電位差 ・胸部誘導の全てで…

左室高電位の定義と意義

心室高電位の原因と定義 QRSの振幅が大きくなっていることを心室高電位という。 ・左室高電位は左室側の誘導であるⅠ、aVL,V5,V6誘導でのR波の増高 ・右室高電位は右室側の誘導であるV1,V2誘導でS波が深くなる*1 次のいずれかの基準を満たす時に左室高電位と…

マクロリエントリーとマイクロリエントリーの違い

リエントリーとは日本語で言うと「回帰」「再び入る」という意味。 通常であれば洞結節で始まった興奮は洞房結節を介して心室に伝わり一方通行のはずである。が、心房粗動や心房細動ではリエントリー、つまり心房で一度始まった興奮が心室に行かずに心房内で…

f波とF波の違い

心電図でf波とF波の違い ・f波とは心房細動の時に出現する波形 心房細動は心房に多数のマイクロリエントリーが出現することによって発生する不整脈。規則正しい興奮を生み出す洞房結節の働きが失われ、代わりに心房の至る所から無秩序な心房興奮(f波)が発…

心筋梗塞疑いの際の血液検査の解釈

AMIが疑われる際に身体所見や心電図と並んで血液検査も必要不可欠。 重要な項目としては、トロポニンI、CK、CKーMB、H-FABP、AST、WBC、血糖値などなど。たくさんある。それぞれ感度特異度は異なるし、イベント発症後どのぐらいで上昇するかも変わってくる。…

一時的ペーシングをいつ行うか

◯一時的ペーシングとは 洞不全症候群や房室ブロックなどによって症候性徐脈(徐脈によりめまいや失神、ふらつきなどの症状が現れること)が生じる場合、電気的に心筋を刺激して心拍数を増加させる一時的ペーシングが行われることがある。一時的ペーシングは…

S1Q3T3とは何か

S1Q3T3とは急性肺塞栓で取りうる心電図の波形パターンのこと。 【S1Q3T3の一例】 S1Q3T3 EKG Classic Pattern in Pulmonary Embolism (Example). 【S1Q3T3】 Ⅰ誘導の深いS波 Ⅲ誘導の明瞭なQ波 Ⅲ誘導の陰性T波 S1Q3T3は急性肺塞栓を示唆する心電図変化である…

特殊心筋と固有心筋の違い

特殊心筋と固有心筋の違い 心筋は固有心筋と特殊心筋に分けられる。固有心筋と特殊心筋は組織学的にも生化学的にも異なっている。 心臓の構造と働き‐見て!わかる!解剖生理【花子のまとめノート】 ◎固有心筋は血液の拍出を行う筋細胞であり心房筋、心室筋が…

WPW症候群でデルタ波が出現する理由

WPW症候群でデルタ波が出現する理由 画像参照:http://nurse365.net/?p=799 WPW症候群とは心房と心室とを直接結ぶ副伝導路(kent束)が存在し、心室が早期に興奮してしまう症候群である。本来であれば心房の興奮は刺激伝導系を介して(つまり房室結節を経て…

心房粗動と心房頻拍の違い

心房粗動も心房頻拍も心房内の規則的な興奮による頻拍。 【心房粗動とは】 心房粗動は右房内に形成されたマイクロリエントリーが原因で生じる。右房中隔、右房自由壁、下大静脈ー三尖弁輪間右房頰部を含む経路であり、この回路を電気興奮がぐるぐると回って…

平均血圧の計算とその意義

平均血圧の算出法とその意義 平均血圧とは 自動血圧計でも平均血圧を測定することが出来る。平均というのは収縮期血圧と拡張期血圧の平均という意味ではない。カフで動脈を圧迫した時に動脈から最も強く振動が伝わる圧力を平均血圧としている。 動脈を圧迫す…

大動脈解離でDダイマー上昇の感度と特異度

大動脈解離でDダイマー上昇の感度と特異度 大動脈解離で何故Dダイマーが上昇する? 大動脈解離では血管の炎症、凝固線溶系の活性化が起こることによりDダイマーが上昇することが知られている。 D-dimer in ruling out acute aortic dissection: a systematic…

大動脈解離の簡易スクリーニング

大動脈解離を疑う3つの項目 ・突然発症の裂けるような痛み →解離を疑うきっかけ ・胸部単純レントゲンで縦隔陰影の拡大(縦隔拡大>8cm) (臥位では上縦隔は生理的に増大してしまうので判別困難。その場合は気管分岐部レベルでの椎体中央と大動脈陰影左縁…

大動脈解離で熱発する理由

急性大動脈解離を発症すると大動脈血管の炎症および凝固線溶系の活性化が起こりSIRSが引き起こされることがある。 http://www.geocities.jp/tousekigizyutuninteisi/benkyou/sirstomods.htmlより引用 つまり突然の胸腰部痛を主訴に来院し、高体温や頻脈、頻…

大動脈解離のカルシウムサインとは(画像)

カルシウムサインとは大動脈解離を示唆するレントゲン所見である。大動脈の内膜の石灰化が大動脈陰影の外側から5mm以上内側に偏位していれば大動脈解離を疑う。単純写真では斜位になると偽陽性となりやすいので注意。また感度は非常に低く9%ほど、特異度も…

”変行伝導を伴う上室期外収縮”とは何か

”変行伝導を伴う上室期外収縮”とは何か 期外収縮についてイマイチな場合は↓エントリーも参照下さい。 tsunepi.hatenablog.com 上室期外収縮は本来QRSはnarrowであるはずだが、”変行伝導を伴う上室期外収縮” ではQRSはwideになる。故に上室期外収縮でありなが…

ST上昇はどこを見て判定すればよいのか

心電図におけるST上昇とはどこを見て判定すればよいのか STが上昇しているかいないのか、虚血性心疾患を鑑別するために非常に重要なことである。STとはQRSの終了部分のJ点からT波の開始部分までのことをいう。J点とはQRSが終わって最初にある変曲点のことで…

上室期外収縮と心室期外収縮の違い

上室期外収縮と心室期外収縮の違い イラスト参照”https://nurseful.jp/career/nursefulshikkanbetsu/cardiology/section_1_03_01/ 期外収縮とは文字通り、期待から外れた収縮のこと。心臓の興奮は本来心房の洞房結節から始まるが、期外収縮ではそれ以外の場…

急性冠症候群(ACS)疑いへの対応@救急外来

心筋梗塞、狭心症疑いへの対応@救急外来 胸痛患者においていつACSを疑うか。以下のポイントに分けて考える ◯痛みのOPQRST ◯リスク因子 ◯血液検査 ◯心電図 ◯問診(痛みのOPQRST) 発症様式:突然発症(sudden onset)か急性発症(acute onset)か →発症の時…

心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)とは何か

心臓型脂肪酸結合蛋白測定の意義 H-FABPとは心筋梗塞の診断に用いられる心筋バイオマーカーの1つ。心筋バイオマーカーとしては他にトロポニン、CK、CK-MBなどが知られている。 H-FABPは心筋細胞に豊富に存在する低分子蛋白であるため、軽い心筋ダメージでも…

移行帯の変化とその原因

心電図における移行帯とは 健常人の胸部誘導においてR波はV1からV5にかけて徐々に大きくなり、V6で少し小さくなる。S波はV2誘導で最も大きくなり、V3からV6にかけて少しずつ小さくなる。上に出ているR波と下に出ているS波の高さが等しくなっているところを…

左脚前枝ブロックが後枝ブロックより起こりやすい理由

左脚前枝ブロックが後枝ブロックより起こりやすいのは何故か 以下2つの理由があげられる。 1,前枝は後枝よりも細く長いため動脈硬化性病変の影響を受けやすい。 2,左脚前枝は左冠動脈前下行枝のみから栄養を受けているが、後枝は左冠動脈回旋枝と右冠動…

ヘミブロックの心電図とその意義

心臓の刺激伝導系において、洞結節から出た刺激は房室結節→ヒス束→右脚or左脚と流れ、最終的に右室もしくは左室へと伝わる。左脚は左脚主幹の後に前乳頭筋に向かう左脚前枝と後乳頭筋に向かう左脚後枝に分かれる。 【刺激伝導系のイメージ】 画像引用:http:…

心電図におけるサイナス(洞調律)の定義

心電図におけるサイナスの定義 【洞調律の一例】 画像参照:http://www.ecg-cafe.com/cat1/1-01 サイナス(sinus)は日本語で洞調律という。心電図で以下の条件をみたす場合に洞調律(サイナスリズム)とみなされる。 ・P波の次にQRS波が来る ・PQ時間が一定…

血圧測定における最適な腕の高さ

一般的に血圧を測るときの腕の高さは心臓と同じ位置、胸骨での第四肋間に当たる位置が推奨されている。もし腕が心臓より6-7cm高くなると収縮期血圧と拡張期血圧ともに約5mmHg低下し、逆に心臓より7-8cm低くなると血圧は収縮期も拡張期も6mmHgほど上昇すると…

冠危険因子とTIMIリスクスコア

胸痛患者の診察において急性冠症候群(ACS)の発症リスクがどの程度あるのか冠危険因子を把握する必要がある。冠危険因子は問診で、TIMIリスクスコアは問診に血液検査、心電図検査を併せて評価する。 冠危険因子 ・冠動脈疾患の家族歴 ・喫煙歴 ・高血圧 ・…

動脈硬化でもCRPが上昇するという話

動脈硬化でもCRPが上昇するという話 CRPは感染や慢性炎症、悪性腫瘍などで上昇する急性期蛋白であるが、動脈硬化でも上昇することが近年報告されてきている。動脈硬化でCRP上昇というと意外な感じがするかもしれないが、「動脈硬化=血管の慢性炎症」と考え…

CK-MBとトロポニンの違い

CK-MBもトロポニンTも心筋の障害マーカー。それぞれの違いをまとめ CK-MB: 心筋に豊富に存在するが、多臓器にもある。 特異度が低いため(88%)、何度か検査が必要 心筋の障害後、4〜8時間で上昇 12〜18時間でピーク。 発症後24時間で感度は55%にまで…

心電図電極つける色の覚え方

心電図電極つける色の覚え方 救急外来に患者が搬送されていた時にささっと電極を付けないと看護師さんにボコられるので迅速に動きましょう。 ■胸部誘導のつける順番のゴロ その1;せきぐちくん その2:あきみちゃくむ 赤、黄、グリーン、茶、黒、紫 イラス…

PT-INRとは何か

ワルファリンはビタミンK依存性の凝固因子(Ⅱ因子、Ⅶ因子、Ⅸ因子、Ⅹ因子)を阻害することで抗凝固作用を示す。適応としては長期の臥床患者の静脈血栓症の治療や心房細動に寄る血栓形成の抑制、心臓人工弁置換術後の血栓の予防などである。 ワルファリンは凝…

心不全患者における治療薬選択

■重症度と推奨される治療薬 心不全の重症度と治療薬の選択*1 心不全で何の薬を用いるかは病態と重症度によって変わってくるが 主な選択肢は以下のとおり。 ・レニン・アンジオテンシン系阻害薬(ACEI,ARB) ・β遮断薬 ・利尿薬(ループ利尿薬、アルドステロン…

心電図T波増高の定義と原因

心電図T波増高の定義と原因 ◯T波とは T波とは心室の再分極を意味する心電図波形であるが、高カリウム血症などではこのT波の増高が見られる(=テント状T波)。T波は正常であれば1.2mV以下、もしくはQRSの高さの半分以下。 T波増高の定義は四肢誘導では0.5mV…

心胸比(CTR)の計算式

心胸比(CTR)の計算式 心拡大があるかどうかは心臓と胸郭の比率を計算することによって判定することが出来る。心臓と胸郭の比率は心胸比=CTR(cardiothoracic raio)とも呼ばれる。 Chest x ray basicsより画像引用 胸郭の長さは胸郭の最大内径を測定する。…

心電図PQ時間延長・短縮の原因

心電図PQ時間延長・短縮の原因 心電図においてP波とは心房の興奮、QRS波は心室の興奮を意味しているので、P波からQ波までの時間というのは心房の洞房結節で始まった電気刺激が房室結節、ヒス束、プルキンエ繊維を介して心室に到達するまでの時間を意味してい…

心電図P波の右房拡大所見

心電図P波の右房拡大所見 心電図P波は心房の興奮時に生じる波形である。もし右房の拡大や肥大があるとP波は変化する。原因疾患としては右心系に負荷のかかる肺高血圧や肺塞栓症など。 上室性の変化を捉えやすいⅡ誘導やV1誘導で見る。 <V1誘導でのP波> 【健…

心電図P波による左房拡大所見

心電図のP波はその形によって左房の拡大を示唆する。注目するべきはV1誘導とⅡ誘導 【V1誘導】 V1誘導で見ると右心房の興奮はV1電極に近づいてくるのでプラスとなるが、左心房に向かう分はV1から遠くはなれていくので陰性(マイナス)となる。先に右心房のプ…

一過性心房細動と慢性心房細動の違い

Pafとafの違い 心房細動は心房がうまく収縮できなくて血液を効率よく送り出せなくなってしまう不整脈であるが、大きく3つに分類される。(分類は厳密なものではない) 一過性心房細動(pAF):突然心臓が発作を始めるが、数分から7日で元の洞調律に戻る。 持…

心電図:大文字表記と小文字表記の違い

心電図QRSとqrsの違いとダッシュ記号の意味 心電図はP波から始まりQRS波、ST部分、T波、U波と続く。 QRSとは心室の収縮時間を意味している。 QRSは通常大文字で書かれるイメージがあるが、qrsのように小文字表記の場合もあればRSR'のようなダッシュ記号の場…

心拍数と脈拍数の違い

心拍数とは心臓の拍動する回数。正確な測定方法としては心電図のQRS波とQRS波の時間間隔を測定し、一分間辺りにどのぐらい拍動するのか算出する。 脈拍数とは心拍数とほぼ同義であるが、厳密には異なる。脈拍は一般的に末梢の橈骨動脈などに手を当てて一分間…

巨大陰性T波の原因とその覚え方

陰性T波とはT波が基線より下向きになる心電図である。陰性T波自体は異常なものではない。aVRでは陰性T波が正常、V1,V2誘導では若年者や女性では健常人でも陰性T波になることがある。 が、左右対称の10mm以上の深い陰性T波は異常である(=巨大陰性T波) 巨大…

ヘパリンとワルファリンの違い

ヘパリンとワルファリンの違い ヘパリンとワルファリンは共に抗凝固薬であり、凝固因子の働きを阻害して血栓形成を抑制する。ヘパリンとワルファリンは凝固カスケードにおいて作用する場所が異なる。 ヘパリン:アンチトロンビンを活性化してトロンビン(凝…

頸静脈怒張の原因と診察法(+動画)

頸静脈怒張と診察法 ”頸静脈怒張”とは頸静脈が座位において拡張して張りだして見える徴候のことをいう。 一般的に右内頸静脈の視診で頸静脈怒張の評価を行う。 ■頸静脈怒張にはどういう意味があるのか 頸静脈怒張が臨床的に重要なのは右心不全を示す所見であ…

抗血小板療法と抗凝固療法の違い(脳梗塞治療)

抗血小板薬と抗凝固薬の違い ■抗血小板薬 抗血小板とは血小板の凝集を抑える薬剤であり、主に動脈で作用を発揮する(動脈では血流が早く、乱流が起こりやすい。乱流は血小板の凝集を引き起こし、血栓を形成する。)血小板は内皮細胞が障害されて内皮下組織が…

非弁膜症性心房細動と弁膜症性心房細動の違い

非弁膜症性心房細動と弁膜症性心房細動の違い 非弁膜症性心房細動とは弁膜症以外が原因で起こる心房細動のことであるが、この定義は少し直感とは異なる。日本循環器学会によれば、人工弁置換(機械弁、生体弁とも)とリウマチ性僧帽弁膜症(狭窄症、閉鎖不全症…