つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

呼吸器

鼻カニューレと簡易酸素マスクの違い

鼻カニューレと簡易酸素マスク(シンプルマスク)の違い ◯鼻カニューレ 2013-226356号 鼻翼型経鼻カニューレ - astamuse ・鼻の下のチューブから酸素を投与する。 ・あまり顔を覆わないので閉塞感や圧迫感は少ない ・鼻の粘膜に直接空気が流れるので鼻粘膜が…

「酸素10L/分投与」でどれだけ患者に酸素が届いているか

「酸素10L/分投与」でどの程度患者に酸素が入ってるのか 成人男性で1回の換気量を500mlとし、呼吸の時間を吸気1秒、呼気2秒と仮定すると1分間で20回吸気することになる。すると1分間での吸気量は合計で500ml✕20回=10000ml/分=10L/分となる。よっ…

肺結核がS1,2,6に好発する理由

肺結核は上葉の肺尖部(S1,S2,S1+2)や背側の区域(S6)に好発。 画像参照:http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w1.html その理由としては結核菌は偏性好気性菌(酸素がないと生きていけない菌)であるために肺の中でも酸素濃度の高い場所に生…

気管支拡張の見方とその原因(signet ring sign)

CTにおける”気管支拡張”所見の見方 外から肺に取り入れた酸素を血液を介して全身に運ぶために、肺動脈と気管支は並走している。本来であれば肺動脈径と気管支径の大きさは同じようなものであるが、気管支径の方が肺動脈よりも大きくなっている場合を”気管支…

CTにおける気管支壁肥厚の定義と原因

CTにおいて気管支壁肥厚の定義 正常な気管支壁はペンで書いたように厚いが、様々な原因で肥厚しうる(ex,気管支炎、喘息、結核、癌性リンパ管症、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎など)。 とある教科書によれば肥厚の定義としては気管支の壁の厚さが外径…

CTにおける肺嚢胞と肺気腫の違い

肺嚢胞とは空気の入った袋。肺胞と違い純粋に空気だけが入っているのでレントゲンやCTでは黒く見える。袋を構成する壁がレントゲン、CTでは白く見えるた。膿疱病変の原因としてはブラ、ブレブ、嚢胞状気管支拡張症などがある。 肺気腫とは終末気管支より末梢…

アニオンギャップを計算する意義

アニオンギャップの計算とその意義 ◎アニオンギャップの式の導出 アニオンとは陰イオンのこと。ギャップとは差のこと。アニオンギャップとは陽イオンと陰イオンの差という意味で用いられる。 体内において陽イオンと陰イオンのそれぞれの合計は一緒。 陽イオ…

低酸素で肺血管が攣縮するのは何故か

肺血管は低酸素になるとその部分で血管収縮が起こり血流を減少させることが知られている(=低酸素性肺血管攣縮)。これは酸素の少ない肺血管にいくら血流を送ってもガス交換を期待できないため、酸素の十分にある他の肺血管に血流をその分回すことでガス交…

呼吸と換気の違い

呼吸と換気の違い 似たワードを整理。 呼吸とは酸素を細胞に届け、ミトコンドリア内でATPを産生し、代謝過程で作られたCO2を排出する事を言う。呼吸には内呼吸・外呼吸がある。一般的に臨床で用いられる呼吸という言葉は外呼吸を意味している。 ・外呼吸は外…

PaCO2上昇、肺胞低換気の原因

動脈血液ガスでは大きく分けて呼吸状態と酸塩基平衡の2つがわかる。 ・PaO2,PaCO2で呼吸状態 ・pH、PaCO2、HCO3-で酸塩基平衡 ここではPaO2とPaCO2による呼吸状態の考え方について。 ◎PaCO2(動脈血CO2ガス分圧)の上昇の意味すること CO2は拡散能力が高い…

アシドーシスやアルカローシスの代償の目安・覚え方

代謝性アシドーシスの際、身体はアシドーシスを補正しようと代償性アルカローシスになる。 HCO3-の基準値は22〜26mEq/l(平均24前後) PaCO2の基準値は35〜45mmHg(平均40前後) 代謝性アシドーシスであれば腎臓などに問題があり、アルカリ物質であるHCO3-が…

A-aDO2の基準値は加齢とともに上がるという話

◯AaDO2とは A-aDO2とは肺胞気酸素分圧(PAO2)と動脈血酸素分圧(PaO2)の差のことである。 これらの値は動脈血液ガス分析で測定される。正常なガス交換の場合A-aDO2が0になることが理想であるが、実際は生理的な換気血流不均等やシャントが存在するため、正…

肺炎疑いで胸部CTを取るべきかどうか

肺炎が疑われる患者において胸部CTの適応は? 肺炎の診断は ◯臨床症状(咳、痰、呼吸苦など) ◯血液検査(WBCやCRPなど炎症反応の上昇) ◯画像検査(X線やCTでの肺炎像) ◯抗原検査(肺炎特異的な尿中抗原、喀痰抗原) などを合わせて行われる。 つまり画像…

縦隔気腫へのアプローチ

◯縦隔気腫とは 縦隔気腫とは何らかの原因により気管に小さな穴が開くことにより、本来なら空気の存在しない縦隔に空気が入り込むことを言う。自然気胸と同じように痩せ型の若年男性に多い。 原因としては胸痛発生時に胸腔内圧が上昇することが多い。気管支喘…

結核喀痰検査:塗抹、培養、PCRの違い

結核喀痰検査:塗抹、培養、PCRの違い 塗抹とは 【利点】 短時間でできる 手技も簡単 【欠点】 感度が低い 菌株名まではわからない 死んでる結核菌や非結核性抗酸菌も陽性となってしまう。結核治療中の患者の喀痰には死んだ結核菌がたくさんいるので喀痰塗抹…

ガフキー号数とは何か

ガフキー号数とは塗抹標本を顕微鏡で見た時に、どのぐらいの結核菌がいるかを表す指標である。ガフキー号数は以下の表のように0〜10まであり、例えばガフキー0は顕微鏡でいくら見ても結核菌が全くいない程度の菌量、ガフキー10は顕微鏡で一視野に無数…

肺塞栓症を心電図で診断できるのか

S1Q3T3についてこの間紹介したが、肺塞栓では他にも特徴的な心電図波形を取る。 7つの波形パターンを元に診断基準として報告している論文があるので紹介。 (1) incomplete or complete right bundle branch block (n = 33); which was associated with ST-s…

肺血栓塞栓症の診断基準(Revised Geneva Score)

PTE(肺血栓塞栓症)の診断基準の有名所として wells criteriaがある。 【wells criteria】 以下7項目のスコアを合計する。4点以上でPTEを疑い、4点未満であればPTEは否定的。 スライド参照:http://www.kameda.com/pr/pulmonary_medicine/modified_wells…

インフルエンザ菌とインフルエンザウィルスの違い

「インフルエンザ」と言えば一般的にはインフルエンザウィルスによる感染症を意味するが、紛らわしいことにインフルエンザ菌という細菌も存在する。 インフルエンザは臨床的には感染すると急激な発熱、上気道症状、関節痛や倦怠感などの全身症状を呈する。タ…

BLNARとは何か

BLNARとはインフルエンザ菌の一種。 ◯βラクタムに耐性の持ったインフルエンザ菌の出現 インフルエンザ菌とはグラム陰性の球桿菌の一種で肺炎、中耳炎、副鼻腔炎など様々な感染症を引き起こす。第一選択薬はβラクタム系のアンピシリンであるが使いすぎたため…

過呼吸で手足が痺れる理由

過呼吸で手足が痺れる理由(ツイッター投稿をそのままブログに流用) 過呼吸→CO2低下→アルカローシス→血中のH+不足→アルブミンが結合しているH+を放出→アルブミンが電荷的にCa2+と結合しやすくなる→血中Ca2+の低下→カルシウム不足による末梢神経の易興…

喘息発作に対して硫酸マグネシウムを使う理由

喘息発作に対して硫酸マグネシウム(MgSO4)を使う理由、機序 硫酸マグネシウムを静注することにより血中内にMg2+イオンを入れることが出来る。Mgイオンは筋肉の収縮に用いられるCaイオンと拮抗する。Mgイオンは副作用の少ない天然のカルシウムブロッカーとも…

PEEPとCPAPの違い

PEEPとCPAPの違い 人工呼吸設定でPEEPとCPAPは似ている概念でややこしいのでそれぞれ整理。 人工呼吸は人間の代わりに機械が呼吸をしてくれているわけであるが、結局のところ息を吸って吐くという大原則は変わらない。呼吸における気道内圧の変化を考えてみ…

CPAPとBIPAPの違い

CPAPとBIPAPはNPPVのうちの1つ。 NPPVとは非侵襲的陽圧換気のことで気管チューブを用いずに顔にマスクを当てることによって換気を行わせる方法。 ■CPAPとは Continuous Positive Airway Pressure(持続的気道陽圧)の事。 CPAPは人工呼吸器の1つのモードで…

NPPVの適応と禁忌

NPPVの適応と禁忌 NPPVをする前提 ・患者の意識が清明で協力的 ・循環動態が安定している ・高度な顔面外傷なし ・イレウスなどの消化器疾患なし ・気管挿管の必要なし(気道確保出来ていて、喀痰の排出が出来ている) 【NPPVの適応疾患】(NPPVガイドライン…

NPPVのSモード、Tモード、S/Tモードの違い

NPPVのSモード、Tモード、S/Tモードの違い Sモード:spontaneousモード(患者の呼吸を補助するモード) 患者の自発呼吸に合わせて圧をかけて呼吸を補助する(プレッシャーサポート) 患者が息を吸ってる時はIPAPの圧力、吐いてる時はEPAPの圧力がかかる。 吸…

IPAPとEPAPの違い

IPAPとEPAPの違い まずNPPV(非侵襲的陽圧換気)について NPPVは気管チューブという侵襲的な方法の代わりに顔にマスクを密着させて陽圧換気を行い、呼吸を補助する方法。食事、会話の機能は保持され侵襲性は低い。 一方で気管チューブ挿入は声帯の損傷や下気…

動脈血ガスでpH7.4前後の時の解釈

血液ガスpH7.4前後の時の解釈 血液pH7.35以下であればアシデミア、7.45以上であればアルカレミア。 その間であれば正常値。 動脈血ガスで正常値であれば何も起きていない至って正常な状態であるか、もしくはアシドーシスやアルカローシスがあるが代償されてp…

内呼吸と外呼吸の違い

内呼吸と外呼吸の違い 呼吸とは一般的には酸素を吸って二酸化炭素を吐き出すことを指すが、医学的には外呼吸と内呼吸に分類されている。 外呼吸とは肺で行うガス交換のことを指し、肺胞内の酸素を血液中に渡し、血液中のCO2を肺胞側にもらうこと。一方で内呼…

肺炎治療の効果判定でレントゲンは有用か?

肺炎治療の効果判定に胸部レントゲン撮影は有用なのだろうか。 肺炎に対して抗菌薬治療を行っている場合、その効果判定は2,3日後に行われる。重要なパラメータは体温、酸素化(SpO2)、分泌物の状態である。 胸部レントゲンは効果判定に有用そうで意外と…