つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

代謝内分泌

糖尿病患者で発がんリスクが上昇する理由

糖尿病で発がんリスクが上昇する理由 自分の勤務先の病院では糖尿病の教育入院患者にほぼ全例腹部エコーをしている。糖尿病では悪性腫瘍の合併率が高いことが知られており、そのスクリーニング目的で行われているようである。10万人規模のコホート研究では糖…

糖尿病でCVRRが低下する理由

糖尿病でCVRRが低下する理由 CVRRとは(Coefficient of Variation of R-R intervals )の略で 心電図R-R間隔変動係数のこと。 つまり…? 心電図においてPーQRSーTのRというのは心室の興奮、つまり心室が収縮をするときの点であり、RとRの間隔は脈と脈の間隔…

糖尿病患者の目標血糖値はいくらにするべきか(メモ)

糖尿病患者の目標血糖値 http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_474C323031332D30322E706466を参考に。 ・良好な血糖コントロールは長期予後を改善する。 ・細小血管症(腎症、網膜症、神…

経口血糖降下薬の使い分け

経口血糖降下薬の作用機序と使い分け ■ 経口血糖降下薬の適応 糖尿病治療はまず食事療法・運動療法からスタートするが、それでも血糖コントロール不良の場合は経口血糖降下薬の適応となる。 血糖コントロール不良とは以下のいずれか1つ以上が当てはまるとき…

バセドウ病で眼球突出する理由

バセドウ病で眼球突出する理由 バセドウ病とは甲状腺に対する自己抗体であるTSH受容体抗体が産生され、甲状腺機能が異常に亢進してしまう疾患である。バセドウ病の症状の1つとして眼球突出が知られている(患者の25-50%)。眼球突出はバセドウ病眼症(grave…

糖尿病重症化で下肢切断となる理由

糖尿病重症化で下肢切断となる理由 糖尿病の合併症として足病変がある。糖尿病足病変の定義は「神経障害や末梢毛血流障害を有する糖尿病患者の歌詞に生じる感染、潰瘍、深部組織の壊死性病変」と定義されている。 足病変の原因は神経障害、血流障害 感覚神経…

糖尿病でCharcot(シャルコー)関節になる理由

糖尿病でCharcot(シャルコー)関節になる理由 糖尿病で高血糖状態が持続すると全身性に末梢神経障害、血管障害が生じる。神経障害、血管障害が関節にも及ぶと不規則に関節の破壊と増殖が繰り返され、実質的に関節が破壊される。シャルコー関節患者は足の感…

乳酸アシドーシスで腹痛が起こる機序

糖尿病の乳酸アシドーシスで腹痛が起こる理由 乳酸アシドーシスとは 1型糖尿病などでインスリンが働かない場合、糖の代わりにエネルギー源として脂肪が利用されるようになる。その結果、脂肪代謝の副産物であるケトン体が生成されケトアシドーシスとなって…

尿ケトン体陽性の原因と意義

尿ケトン体陽性の原因と意義 ケトン体とは脂肪がβ酸化によって分解される時にできる副産物である。具体的にはアセト酢酸、βハイドロオキシ酢酸、アセトンが産生される。 尿中にケトン体があるということは当然血中のケトン体濃度が上昇していることを反映し…

速効型、超速効型、中間型、持効型インスリンの違い

速効型、超速効型、中間型、持効型インスリンの違い ・速効型、超速効型インスリン・・・インスリン追加分泌を補充 ・中間型、持効型インスリン・・・インスリン基礎分泌を補充 イラスト参照*1 ◯速効型インスリン製剤(ヒューマリン、ノボリン) インスリン…

痩せてる患者にSGLT2禁忌の理由

・SGLT2阻害薬とは SGLT2阻害薬とは近位尿細管でのブドウ糖の再吸収を抑制することで尿から糖を排泄し、血糖値を低下させる薬剤である。1日100g程度のブドウ糖を尿中に排泄することができ、カロリーにすると400Kcal相当。糖質をエネルギーとして利用できなく…

αグルコシダーゼ阻害薬で消化器症状がでる理由

αグルコシダーゼ阻害薬(糖尿病治療薬)の副作用で消化器症状がでる機序 一般名:アカルボース、ボグリボース、ミグリトールなど ・αグルコシダーゼは血糖上昇を抑えることが出来る 食事でとられる炭水化物はまず唾液のアミラーゼによって二糖類に分解される…

ビグアナイドで乳酸アシドーシスになる機序

ビグアナイド薬(一般名:メトホルミン、ブホルミン)で乳酸アシドーシスになる理由 ■ビグアナイドの作用機序:ビグアナイドはAMPキナーゼ(AMPK)を活性化させる作用があり、AMPKが肝臓での糖新生の抑制を抑制している。つまり、ビグアナイドはアミノ酸や乳…

シックデイとは何か

シックデイとは糖尿病の治療中に発熱、消化器症状、ストレスなどにより体調を崩したり、食欲不振のため食事ができない時をシックデイ(sick day)という。 このような状態ではそれまで血糖コントロール良好であった患者でも一気に血糖が崩れてしまう。機序とし…

スライディングスケールの適応とデメリット

【糖尿病治療のスライディングスケールとは何か】 糖尿病のインスリン療法における血糖コントロール方法の1つ。血糖値を測定して、その値が目標の血糖がどれぐらい乖離しているかによって次に投与するインスリン量を増減させて調節する。使用するインスリン…

インスリン分泌能とその検査

インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されて血中の糖を細胞内に取り込ませて血糖値を低下させるホルモンである。1型糖尿病ではβ細胞が破壊されて慢性的にインスリン分泌が低下し、2型糖尿病でも食後の追加分泌が低下する。インスリンがβ細胞からどの程度分泌さ…

インスリン基礎分泌と追加分泌の違い

インスリン基礎分泌と追加分泌の違い インスリンは膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンであり、筋肉、肝臓、脂肪細胞などに働きかけて、血中の糖を取り込ませて血糖値を低下させる働きがある。インスリンの分泌は基礎分泌という常に少しずつ出てるインスリン…

インスリン抵抗性の指標(空腹時IRIとHOMA-R)

◯インスリン抵抗性とは インスリンは膵臓β細胞から分泌されて肝臓や筋肉、脂肪組織のような末梢の細胞に働きかけ、血液中の糖を細胞内に取り込ませて血糖値を下げる役割がある。インスリンの抵抗性とは血中のインスリン濃度に見合ったインスリンの作用が得ら…

サブクリニカルクッシング症候群の診断基準

サブクリニカルクッシング症候群とは何か 副腎腫瘍や副腎の過形成などによってコルチゾールが過剰に分泌されて様々な症状をきたすものをクッシング症候群という。クッシング症候群では満月様顔貌やバッファローハンプ、多毛、色素沈着など特徴的な身体的特徴…

三者負荷試験とは何か

三者負荷試験とは何か 三者負荷試験とは下垂体機能の低下が疑われる患者に対して、3者(3つのホルモン)を投与して調べる検査である。3者とはGnRH、TRH、CRHの3つ。 ・GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)負荷 →卵巣刺激ホルモンや黄体化ホルモンを分泌…

糖尿病治療のBOTとは

糖尿病治療のBOTとその適応 BOT(basal supported oral therapy)=経口薬併用療法のこと。 インスリンの絶対的な適応ではないが、インスリンを使ったほうが良い(=相対的インスリン適応)の患者においてはBOTが行われる。例えば2型糖尿病でSU薬を内服して…

糖尿病のインスリン治療の適応

糖尿病の治療では経口血糖降下薬とインスリン療法がある。 インスリン療法の主な適応以下のとおり ・1型糖尿病 (膵臓β細胞が破壊されて絶対的なインスリン欠乏状態) ・重度の2型糖尿病 (インスリンの分泌が保たれている2型糖尿病であっても著明な高血…

糖尿病でケトアシドーシスになる理由

糖尿病でケトアシドーシスになる理由 糖尿病が進行するとインスリン抵抗性が増大そしてインスリンの分泌不足により末梢組織(肝臓や筋肉)が糖を利用できなくなり、血液中に糖がたまり所謂高血糖の状態になる。エネルギー源として糖が使われなくなると代わり…

劇症1型糖尿病の診断基準

■劇症1型糖尿病とは 1型糖尿病は発症の経過で急性発症1型(数週間〜数ヶ月)、劇症1型(数日間で急激に発症)、緩徐進行1型(数年〜数十年)のものに分けられる。 劇症1型糖尿病の病態としてはウイルス感染による膵臓炎、あるいはウイルス感染に対する…

甲状腺機能低下症でアキレス腱反射弛緩相遅延が起こるのは何故か

甲状腺機能低下症でアキレス腱反射弛緩相遅延となる機序 甲状腺機能低下症とは 甲状腺ホルモンの作用低下によって様々な全身症状をきたす疾患。原因(病変)は甲状腺そのものにある場合とその上流の視床下部にある場合とがある。アキレス腱反射弛緩相遅延と…

17OHCSとは何か。なぜ血中ではなく尿中を調べるのか

17-OHCSとは何か OHCSとはhydroxycorticosteroidの略。-OHとは水酸基を意味しているので水酸化されたコルチコステロイドと考えるとわかりやすい。 臨床においては尿中17OHCSを測定する。血中の値を測定したほうが簡便な気もするが、ステロイドというのは日…

慢性腎不全でインスリン必要量が減る理由

慢性腎不全でインスリン必要量が減る機序 糖尿病患者ではインスリンがうまく分泌されない・働かないために治療としてインスリン注射が必要である。糖尿病が悪化すればするほどインスリン必要量も増えそうであるが、合併症として腎不全が進行するとインスリン…

クッシング症候群で代謝性アルカローシスになる理由

クッシング症候群とはコルチゾールが異常に産生されてしまう疾患である。 コルチゾールは糖質コルチコイドとしての作用も持ち、遠位尿細管においてNaの再吸収、Kの排出を促進し、低カリウム血症を引き起こす。故に代謝性アルカローシスとなる。(血中のカリ…

高K血症ではアシドーシス、低K血症ではアルカローシスになる機序

高K血症では代謝性アシドーシス、低K血症では代謝性アルカローシスになる理由 一般的な話として、高カリウム血症ではアシドーシスが、低カリウム血症ではアルカローシスが引き起こされる。これはなぜかというと、 前提的な話ではあるが、細胞内にはカリウム…

副甲状腺機能亢進症でラグビージャージ様脊椎になる理由

副甲状腺機能亢進症でラガージャージ様脊椎になるのは何故か 副甲状腺機能亢進症では副甲状腺が過形成を起こし、腫瘍性にPTHを産生してしまう疾患である。PTHは血中Caを上昇させるホルモンであるが、その作用点は様々である。 ・破骨細胞に作用し、骨吸収を…