つねぴーblog

元とある研修医の雑記帳。アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。

なぜ?

心不全による胸水貯留は片側性のことも少なくないという話

心不全、特に左心不全が起こると全身に血液をうまく送れなくなり、血管から間質に漏れ出て、そのスピードがリンパ管から取り除かれる速度を上回ってしまうために間質に液体が貯留する。その結果、肺水腫、胸水貯留。 心不全では一般的に両側性に胸水が貯留す…

末梢性顔面神経麻痺と中枢性顔面神経麻痺の鑑別

【中枢性・末梢性顔面神経麻痺のイメージ】 画像参照:http://heart-clinic.jp/index.php?%E7%A5%9E%E7%B5%8C ◯中枢性の顔面神経麻痺の場合 病変の対側の顔面下部のみの麻痺が生じる →つまり、額のしわ寄せや閉眼は出来るが、鼻唇溝は浅くなり、口角を上げる…

Lドパの半減期が短いが効果の持続が長い理由

L-dopaはパーキンソン病においてドーパミン補充目的で用いられる。Ldopaは血中半減期が1時間程度と非常に短いが、病初期においてはLdopaの血中濃度と脳内濃度は相関せず、長時間の安定した効果を発揮する。 画像参考元:パーキンソン病の本格的な治療が進み…

足背動脈触知の方法とその意義

◯足背動脈の場所とその触診方法 足背動脈とは前脛骨動脈の延長で、足背において長母指伸筋腱の外側(小指側)に位置する動脈のことである。内果と第三指の付け根を結ぶ線の中心部あたりを通る。 触診のコツとしては、患者に下肢を伸ばしてもらい、母指を上に…

肺がんでノッチが見られる理由

肺がんでノッチが見られる理由 ノッチ(notch)とは結節影に見られる切込み(凹み)のことであり、悪性腫瘍を示唆する所見である。悪性腫瘍ではがん細胞が無秩序に分裂、突然変異を繰り返すために部分部分で細胞増殖の速度は異なり、ガン組織の細胞構成は非常…

髄膜炎疑いでは皮疹にも注目

髄膜炎といえば項部硬直、発熱、意識障害が3徴として重要であるがこれらに加えて皮疹も1つの判断材料になる。 Clinical features and prognostic factors in adults with bacterial meningitis. - PubMed - NCBIによれば細菌性髄膜炎患者の26%に皮疹が出…

クモ膜下出血の心電図変化

クモ膜下出血の心電図変化 クモ膜下出血の患者の多くで心電図異常を認めることが知られている。 A study of ECG abnormalities and myocardial specific enzymes in patients with subarachnoid haemorrhage. によれば次のように報告されている。 【クモ膜下…

細菌性副鼻腔炎における抗生剤の選択は?

細菌性副鼻腔炎の原因菌は肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラなどが代表的。これらは中耳炎の原因菌とほぼ同様である(何故なら副鼻腔炎と中耳は解剖学的に連絡しているため)。 米国感染症学会(IDSA)による副鼻腔炎ガイドラインではエンピリカルな治…

腰椎椎体間ヘルニアが自然軽快するのは何故か

腰椎椎体間ヘルニアが自然軽快するのは何故か 椎間板ヘルニアは脊髄神経根を圧迫することにより疼痛が出現する病態であるが、多くの場合その痛みは自然に軽快する。 脱出した腰椎椎間板が血管新生を惹起し、様々なサイトカインが誘導されマクロファージを始…

シンプルマスクは5L/分以上で投与しないといけない理由

シンプルマスク(簡易酸素マスク)では酸素投与を5L/分以上で投与しないといけない。 簡易酸素マスクは上の写真のように鼻と口とをすっぽりと覆うマスクである。その覆っている空間(およそ200mlほど)はリザーバーとしての働きもあるのでボンベから送り出…

ネブライザー付きマスクの流速は30L/分以上に設定する理由

ネブライザー付きマスクの流速は30L/分以上にする理由 例えば10L/分投与をすると、1秒あたりは167mlの酸素を投与することになる。患者の1回換気量を500ml、吸気時間を1秒とするとボンベからもらえる酸素は167mlのみでは足りないので残りの334ml(500…

静脈血液ガスは有用か?

静脈血液ガスは有用か? 患者の呼吸状態や酸塩基平衡を調べる際に動脈血液ガスを測定するのが一般的であるが、動脈ではなく静脈血液ガスでその代用となるのであろうか。 端的に言えば ・pHとHCO3-の評価は静脈血液ガスでも代用可能 ・PCO2は静脈ガスの値と動…

急性アルコール中毒に点滴をする意味

急性アルコール中毒に点滴をする意味 ERに搬送されてくるアル中患者にはとりあえず点滴全開でいくのが基本。 点滴をする目的は脱水の補正や薬剤投与のルートキープのためである。アルコール中毒患者では嘔吐を繰り返して水もとれないため脱水が進行する可能…

めまいの性状を問診で聞く意味

めまいの訴えには様々なタイプが有る。 回転性:天井が回るようなめまい 失神性:気が遠くなるようなめまい 浮動性:ふわふわと浮くようなめまい などなど めまいを主訴にくる患者には「どのようなめまいですか?」と問診されることが多い。教科書的にはBPPV…

肺結核がS1,2,6に好発する理由

肺結核は上葉の肺尖部(S1,S2,S1+2)や背側の区域(S6)に好発。 画像参照:http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w1.html その理由としては結核菌は偏性好気性菌(酸素がないと生きていけない菌)であるために肺の中でも酸素濃度の高い場所に生…

肋骨骨折に鎮痛薬が大事な理由

肋骨骨折に関しては鎮痛薬はただの痛み止め以上の意義がある。 肋骨は呼吸によって変動する骨であるので肋骨骨折患者は出来るだけ息を大きくしないようにして痛みが生じないように意識的に、あるいは無意識的に呼吸をコントロールする。深呼吸を出来るだけし…

低アルブミンでアニオンギャップ補正する理由

低アルブミン血症ではアニオンギャップを補正する必要がある。 アニオンギャップ= 測定できない陰イオンー測定できない陽イオン≒ Na-(Cl-+HCO3-) dであるがこの「測定されない陰イオン」にはアルブミンも含まれる(アルブミンは血液中で陰イオンとして存…

アニオンギャップを計算する意義

アニオンギャップの計算とその意義 ◎アニオンギャップの式の導出 アニオンとは陰イオンのこと。ギャップとは差のこと。アニオンギャップとは陽イオンと陰イオンの差という意味で用いられる。 体内において陽イオンと陰イオンのそれぞれの合計は一緒。 陽イオ…

低酸素で肺血管が攣縮するのは何故か

肺血管は低酸素になるとその部分で血管収縮が起こり血流を減少させることが知られている(=低酸素性肺血管攣縮)。これは酸素の少ない肺血管にいくら血流を送ってもガス交換を期待できないため、酸素の十分にある他の肺血管に血流をその分回すことでガス交…

尿路結石発作が明け方に多いのは何故か

尿路結石発作が明け方に多いのは何故か 【尿路結石のイメージ図】 参照:第2章 腎・泌尿器領域の主な疾患 結石 尿路結石発作とは腎臓、尿管、尿道といった尿路に石が嵌頓することによって突然の激痛を生じることをいう。 Circadian pattern in occurrence of…

髄膜炎に対してkernig徴候はどの程度有用か

Kernig徴候とは髄膜刺激徴候に対するスクリーニング検査。 検査の手順: 1,患者の片側の股関節、膝関節を共に90度に屈曲してもらう。 2、股関節を90度に屈曲させたまま、患者の大腿伸側を掴んで膝関節をゆっくり進展させていく。 3,膝関節が135…

腹部レントゲンでガスレスが意味するもの

腹部レントゲンでガスレスが意味するもの ガスレス=gasslessa=腸管に空気がうつらない所見 【ガスレスとなるものの例】 ・小腸閉塞 ・イレウス(麻痺性、絞扼、軸捻転) ・上腸間膜動脈血栓症 ・腸管虚血 ・胃腸炎や急性膵炎などによる繰り返す嘔吐 ・重症…

腸炎の下痢患者に甘いもの禁忌な理由

腸炎の下痢で甘いものはダメで脂肪はそこまでダメじゃないという話 急性腸炎の下痢は主に3つのタイプがある(おさらい) 1,分泌性下痢: 小腸において水や電解質の分泌が亢進し吸収が追いついていない状態。例えばコレラでは腸管粘膜のGタンパク質を介し…

便培養をいつ取るか

便培養の適応 便培養とは便に含まれる微生物を培養し、分離同定することであり感染性腸炎の原因菌の診断に必要になる。感染性腸炎には主にウィルス性の腸炎と細菌性腸炎とがあるが、ウィルス性腸炎の場合、細菌ではないので培養は出来ない。よって、便培養は…

肺炎疑いで胸部CTを取るべきかどうか

肺炎が疑われる患者において胸部CTの適応は? 肺炎の診断は ◯臨床症状(咳、痰、呼吸苦など) ◯血液検査(WBCやCRPなど炎症反応の上昇) ◯画像検査(X線やCTでの肺炎像) ◯抗原検査(肺炎特異的な尿中抗原、喀痰抗原) などを合わせて行われる。 つまり画像…

サルモネラの分類(腸チフスと食中毒)

サルモネラは人間の消化管内に常在する腸球菌であるが、一部のサブタイプは感染することで病原性を示す。 サルモネラは色んな分類の仕方があるが、臨床的には ①腸チフスやパラチフスという重篤な疾患を引き起こすタイプ ②食中毒性腸炎の原因となるタイプ に…

感染性腸炎で抗菌薬治療を考える時

感染性下痢症に抗菌薬は必要なのか。 感染性腸炎の原因は大きく分けてウィルス性と細菌性とがある。 抗菌薬は細菌を殺す薬なので当然であるがウィルス性腸炎には効かない。 逆に細菌性の腸炎であれば全例抗菌薬を使っていいのかというとそういうわけでもない…

ロキムコとは何か(→NSAIDS潰瘍の予防)

ロキムコとは何か ロキムコとはロキソニン+ムコスタを合わせた俗語。 NSAIDS鎮痛薬であるロキソニンは胃粘膜障害をしてしまうので、それを保護する意味合いで胃薬であるムコスタ(レバミピド)が一緒に処方されることが多い。ムコスタは胃粘膜でのプロスタ…

ICUでのストレス潰瘍の予防とその適応

ストレス潰瘍とは身体的および精神的にに何らかのストレスがかかることにより上部消化管に潰瘍が生じることを言う(文字通り)。ICUに入室するような患者では高度に身体的な侵襲を受けており、さらにそれに対する治療によっても医原性な侵襲が加わっている。…

髄膜炎疑いの患者に頭部CTは必要か

髄膜炎患者に頭部CTは必要なのか 発熱と頭痛を主訴に来院して項部硬直が陽性の場合、髄膜炎を強く疑い腰椎穿刺をして確定診断をすることになるが、髄膜炎患者には頭部CTが必要なのだろうか。 答えはYESで、腰椎穿刺をする前に頭部CTを取って頭蓋内圧を亢進さ…

めまいにATPが効く理由

めまいにATPが効く理由 ATP(アデノシン三リン酸)(商品名;アデホスコーワ) ATPとはグルコースを分解してできる高エネルギーリン酸化物質であるが、めまいの治療に対しても頻繁に用いられている。 めまい症例に対するATPの臨床治験(耳鼻臨床 72: 12;1621…

救急外来でめまい患者に頭部CTを撮る意義

めまいを主訴に救急外来に来られる患者にほぼルーチンで頭部CTが取られることがある。が、頭部CTで問題がないからといって頭蓋内に病変がないと言えるものでもない。 頭部CTを取る意義は主に次の3点である。 ・脳出血がないか ・大きな脳梗塞がないか ・脳…

めまいにメイロンが効く理由

めまいで救急外来を受診される患者にほぼルーチンでメイロン(炭酸水素ナトリウム)が投与される。どういう作用機序でめまいに効くと考えられているのか? メイロンの成分はHCO3-なので、これが血管内で分解されて HCO3- + H2O→H3O + CO2 となる。CO2には血…

心筋梗塞疑いの際の血液検査の解釈

AMIが疑われる際に身体所見や心電図と並んで血液検査も必要不可欠。 重要な項目としては、トロポニンI、CK、CKーMB、H-FABP、AST、WBC、血糖値などなど。たくさんある。それぞれ感度特異度は異なるし、イベント発症後どのぐらいで上昇するかも変わってくる。…

過呼吸で手足が痺れる理由

過呼吸で手足が痺れる理由(ツイッター投稿をそのままブログに流用) 過呼吸→CO2低下→アルカローシス→血中のH+不足→アルブミンが結合しているH+を放出→アルブミンが電荷的にCa2+と結合しやすくなる→血中Ca2+の低下→カルシウム不足による末梢神経の易興…

WPW症候群でデルタ波が出現する理由

WPW症候群でデルタ波が出現する理由 画像参照:http://nurse365.net/?p=799 WPW症候群とは心房と心室とを直接結ぶ副伝導路(kent束)が存在し、心室が早期に興奮してしまう症候群である。本来であれば心房の興奮は刺激伝導系を介して(つまり房室結節を経て…

喘息発作に対して硫酸マグネシウムを使う理由

喘息発作に対して硫酸マグネシウム(MgSO4)を使う理由、機序 硫酸マグネシウムを静注することにより血中内にMg2+イオンを入れることが出来る。Mgイオンは筋肉の収縮に用いられるCaイオンと拮抗する。Mgイオンは副作用の少ない天然のカルシウムブロッカーとも…

点滴セットと輸液スピードの関係

点滴をする時、クレンメを締めたり開いたりすることで輸液のスピードを調節できる。例えば急速に水分を補給したい時は全開に開いて点滴するのに対して、心臓が悪いなどでゆっくりと輸液したい場合はクレンメを絞って少量ずつ点滴することになる。具体的にど…

外科手術中に色素を投入するのは何故か

外科手術中に色素を投入するのは何故か インジゴカルミンやメチレンブルーといった色素を手術中に静脈投与することがある。静脈に入った色素は心臓に還ってまた動脈血から腎臓に行き、濾過されて尿中に排泄される。もし注射した色素が腹腔内に漏れ出るようで…

平均血圧の計算とその意義

平均血圧の算出法とその意義 平均血圧とは 自動血圧計でも平均血圧を測定することが出来る。平均というのは収縮期血圧と拡張期血圧の平均という意味ではない。カフで動脈を圧迫した時に動脈から最も強く振動が伝わる圧力を平均血圧としている。 動脈を圧迫す…

動脈ラインの適応とその意義

動脈ラインの適応とその意義 動脈ライン(Aライン、artery line)は正確には観血的動脈圧測定という。つまり、動脈内にカテーテルを挿入し、動脈内の圧力をトランスデューサーでデジタル信号に変換して連続的に動脈圧をモニターすることが出来る。 画像参考…

麻酔覚醒時のシバリングが危険な理由

外科手術中は低体温が起こりやすい。その原因としては 1,手術室の室温が空調によってかなり低めに設定されている。 2,更に患者は術衣を脱いでほぼ裸の状態に晒されている。 3、そして何よりも全身麻酔によって末梢血管の拡張が起こり、熱が中枢から末梢…

全身麻酔中に体位変換が危ない理由

全身麻酔中に体位変換が禁忌の理由 全身麻酔には鎮静、鎮痛、筋弛緩に加えて交感神経の抑制作用がある。 交感神経が抑制されると反対の作用を持つ副交感神経が相対的に強くなる。すると、心拍数の低下(徐脈)、更には末梢血管の拡張によって血圧が低下する…

「発熱がないから化膿性関節炎は否定的」とも言えない

「関節が発赤して痛がっているが、熱もなく化膿性関節炎は否定的」と思ってしまうこともあるが実際には発熱のない化膿性関節炎もそれなりに有るようだ。 とある報告によれば 発熱の感度は57% 関節腫脹の感度は78% 関節痛の感度は85% とのこと。化膿…

不明熱の定義とその意味

不明熱の定義 古典的定義(Petersdorf,Beeson 1961) 通常38.3度を超す体温が3週間以上続き、1週間にわたる病院内での原因検索にもかかわらず熱の原因が不明である時、これを不明熱とする。 ■38.3度の由来 習慣性高体温を除外するために38.3度を下限に…

大動脈解離でDダイマー上昇の感度と特異度

大動脈解離でDダイマー上昇の感度と特異度 大動脈解離で何故Dダイマーが上昇する? 大動脈解離では血管の炎症、凝固線溶系の活性化が起こることによりDダイマーが上昇することが知られている。 D-dimer in ruling out acute aortic dissection: a systematic…

大動脈解離で熱発する理由

急性大動脈解離を発症すると大動脈血管の炎症および凝固線溶系の活性化が起こりSIRSが引き起こされることがある。 http://www.geocities.jp/tousekigizyutuninteisi/benkyou/sirstomods.htmlより引用 つまり突然の胸腰部痛を主訴に来院し、高体温や頻脈、頻…

大動脈解離のカルシウムサインとは(画像)

カルシウムサインとは大動脈解離を示唆するレントゲン所見である。大動脈の内膜の石灰化が大動脈陰影の外側から5mm以上内側に偏位していれば大動脈解離を疑う。単純写真では斜位になると偽陽性となりやすいので注意。また感度は非常に低く9%ほど、特異度も…

尿管結石疑いに腹部エコーはするべきか?

尿管結石の診断の1つとして腹部エコーが用いられることがある エコーは非侵襲的で簡単に実施できるが術者の熟練度も求められる検査でもある。 とある報告によると(Ultrasonography versus Computed Tomography for Suspected Nephrolithiasis) 救急医の実…

動脈血ガスでpH7.4前後の時の解釈

血液ガスpH7.4前後の時の解釈 血液pH7.35以下であればアシデミア、7.45以上であればアルカレミア。 その間であれば正常値。 動脈血ガスで正常値であれば何も起きていない至って正常な状態であるか、もしくはアシドーシスやアルカローシスがあるが代償されてp…