つねぴーblog@内科専門医

アウトプットが趣味です。医学以外の事も投稿するやもしれません。名前は紆余曲折を経てつねぴーblogに戻りました

移転しました。

くすり

腎不全患者へのSGLT2i(ダパグリフロジン)の効果

文献:Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease 腎不全患者へのSGLT2i(ダパグリフロジン=フォシーガ)の効果 https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2024816 ・CKD患者におけるダパグリフロジンの効果判定の研究 (メソッド) ・eGFR…

過活動膀胱の薬(β3刺激薬と抗コリン薬の使い分け)

過活動膀胱の薬(β3刺激薬と抗コリン薬の使い分け)メモ ・過活動膀胱における尿意切迫感は、昼夜を問わず頻尿の原因となり、膀胱排尿筋不随意収縮である排尿筋過活動に伴い尿失禁も起こしうる。 ・過活動膀胱に対して抗コリン薬、β3作動薬を使う。 ・過活…

低Na血症でサムスカ(トルバプタン)投与をいつ考えるか

低Na血症でサムスカ(トルバプタン)投与をいつ考えるか SIADHによる低ナトリウム血症においては、ADHが亢進して水の再吸収が亢進してしまうことにより低ナトリウム血症になっている状態であるので、ADHを抑制するサムスカは良い適応であると思われる。SIADH…

カナグリフロジン(SGLT2i)で二型糖尿病による腎不全の腎機能低下抑制

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1811744 JUNE13,2019 二型糖尿病は腎不全の原因として知られているがあまり有用な治療薬はない。 これまでの研究でSGLT2阻害薬は2型糖尿病患者の腎保護作用に働く可能性が示されており、今回そのRCTを行った。…

CKDに対してのレニン・アンジオテンシン系阻害薬の適応

ACE阻害薬であれARBであれ、レニン・アンジオテンシン系を抑制する薬剤は血管拡張を含む様々な臓器保護作用があり、糖尿病やCKDのステージに関わらず、末期腎不全への進展や全死亡率を改善する効果が報告されている。 ただし、ARB,ACE阻害薬の問題点としては…

薬剤性肝障害を考えたら

・肝胆道系酵素上昇をみたら、根拠もなく薬剤性と思い込まずに肝障害をきたしうる他の原因を丁寧に除外する。 ・薬物性肝障害ではAST,ALT上昇メインの肝細胞障害型とALP、γGTP上昇メインの胆汁うっ滞型、あるいは両方が混在したタイプといずれの可能性もあり…

呼吸器疾患リスクのせん妄患者に対して気をつけること

Q,抗精神病薬と抗不安薬ではどちらが呼吸抑制をきたしやすいのか? 抗精神病薬はドーパミン、セロトニンの神経伝達を阻害する。 一方、抗不安薬はGABA系の神経伝達を増強し、筋弛緩効果を発揮する。 結果として、呼吸器合併症を保つ場合は抗不安薬のほうが呼…

循環器疾患患者に対するせん妄治療で気をつけること

循環器疾患患者に対するせん妄治療で気をつけること ◯ハロペリドールは安全 せん妄治療の第一選択薬とも言えるハロペリドール(セレネース®)は心血管系に与える影響が少ないためいつもどおり使用可能。QT延長のリスクがあるとも言われているので心電図の定…

せん妄患者にアタラックスPを使ってよいのか?

アタラックスPは第1世代ヒスタミン薬でポララミンと同じ立ち位置にある薬で睡眠作用があるため鎮静目的にしばしば用いられる。 病棟でせん妄患者が発生したときに「寝かせるためにアタラックスPをオーダーして下さい」と言われたこともあるがアタラックスPに…

せん妄にベンゾジアゼピン系を使ってよいのか?

■せん妄にベンゾジアゼピンを使うのはいつか? ・基本的に、ベンゾジアゼピン系薬剤はせん妄の悪化につながる! ・単独での使用を支持するエビデンスはない。 ・が、そうは言ってもせん妄を起こした患者にセレネース®(ハロペリドール)など抗精神病薬を増量…

せん妄起こしそうな患者がベンゾジアゼピン定期内服していたら

ベンゾジアゼピン系薬剤は言わずとしれたせん妄の誘発因子。 何らかの原因で入院になっても内服を継続するとせん妄を発症するリスクが有る。 ◯パターン1:入院時よりせん妄起こしてる場合 もし、入院時でせん妄を発症もしくはいかにもせん妄を発症しそうで…

「セレネース打ったけど効きません!」と言われたら

「セレネース打ったけど効きません!」と言われたら よく病棟からのコールでありがちな、「せん妄に対してハロペリドールを使ったけど全然寝てくれません!どうしましょう!」という場合への対応について せん妄に対してはセレネース®(ハロペリドール)は標…

心房粗動をみたら

メモ 【一般的な話】 ・心房粗動(AFL)は心房細動(Af)と似ているところと違うところを抑える ・Af同様に、脳梗塞のリスクがあるため抗凝固薬で脳卒中予防を行う。 (心房粗動の方がリスクは少し低いが無視できない) ・Afと異なり心房粗動は自然停止しにく…

せん妄に対するハロペリドールの使い方

◯ハロペリドールの使い方についてまとめ ・内服、筋注、静注どれでも使えるので便利。 (内服ができればリスパダールなど他の選択肢があるが、内服もしてくれない患者においては点滴・筋注投与可能なハロペリドールは強い) ・暴れてて静脈ルートも取れない…

EF低下=ドブタミン使用必須ではない

心不全治療においてEF低下=ドブタミン使用必須ではない。 つまりEF低下=心拍出量低下を必ずしも意味しない。拡張末期径が大きくなると低いEFでも一回拍出量が増えるからである。一回拍出量が保たれればNYHAクラスも良好でEFが低くても日常生活を送っている…

APTT値によるヘパリンの増減調節法

ヘパリン持続投与ではAPTTをチェックして量をコントロールする。 以下、肺血栓塞栓症ガイドライン2017より抜粋 http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2017_ito_h.pdf www.ncbi.nlm.nih.gov

慢性心不全(HFrEF)で基本的に導入する薬

慢性心不全(HFrEF)で基本的に導入する薬(ガイドライン参照) ○ACE阻害薬:推奨クラス1(禁忌を除く全ての患者に投与) エナラプリル:2.5mg/dayより開始。1日一回投与。維持量5-10mg/day リシノプリル:5mg/dayより開始。1日1回投与。維持量5-10mg/day…

フルイトラン(サイアザイド系)はいつ使うか

うっ血性心不全に対してサイアザイド系利尿剤トリクロルメチアジド(フルイトラン®)の出番は? ◯フルイトランはフロセミドに比べたら利尿作用は弱い。 フロセミドの作用部位がヘンレループの上行脚なのに対して、フルイトランは尿細管の後半部位で働く。フ…

せん妄のリスク因子と原因薬剤

せん妄の発症因子は大きく分けて3つ 【せん妄の3大発症因子】 ◯準備因子 →高齢、認知機能低下、中枢性疾患の既往(脳梗塞など)、疾患の重症度、侵襲の大きい手術前 ◯促進因子 →入院などの環境変化、心理・社会的ストレス、便秘・尿閉・疼痛 ◯直接因子 身…

心房細動におけるリズムコントロール

病棟、あるいは救急外来で心房細動を見たら ◯リズムコントロールとレートコントロールどちらを行うか 心房細動の治療はリズムを洞調律に戻すリズムコントロールと、心拍数を正常化させるレートコントロールとがある。直感的にはまずはリズムを戻さないといけ…

便秘薬の使い分けメモ

入院患者への便秘対応メモ イレウスや器質的疾患を除外した上で、機能性便秘の時の対応 ⭕マグミット:やわらかくする マグネシウム剤で便を柔らかくする。ただし、腎機能が悪い場合は血中Mg濃度が高くなってしまうので使用を避ける。腎機能正常でも長期間使…

フェンタニルの使い方メモ

・鎮痛効果はモルヒネとほぼ同等。 ・フェンタニル貼付剤はモルヒネに比べて便秘をきたしにくいのでモルヒネから変更する場合は緩下薬の減量を検討する。 ◯貼付剤 調節性がすぐれないため痛みの強い患者への第一選択薬にはならない。 点滴や内服で鎮痛コント…

オキシコドンの使い方メモ

・鎮痛効果や有害事象はモルヒネと同等 ・低用量の速放剤や徐放剤があるためオピオイドの使いにくい患者や高齢者でも比較的使いやすい。 ・腎機能障害時にも比較的安全に使える。 ◯速放剤で処方する場合 1,オキノーム(散)1回2.5mgを4時間毎内服(日中計…

救急外来での降圧薬の選び方

救急外来に血圧が高いんです…と来た患者に何の降圧薬を出すか 高血圧緊急症への対応 - とある内科レジデントの雑記帳 (収縮期220、拡張期125以上のような場合では高血圧緊急症であり↑記事参照) 家で測って高くて来院時には落ち着いているような場合には無…

ステロイド投与前のルーチン検査とフォロー

ステロイドでは種々の副作用が生じうるため、投与前にスクリーニングが必要。 ◯病歴・身体所見の確認 ・消化性潰瘍や消化管出血の既往 ・内服薬の確認、NSAIDSの中止 ・高血圧、下腿浮腫、心不全の有無 ◯検査 ・末梢血検査(白血球分画、MCV、赤沈、CRPなど…

ミノサイクリンはいつ使うか

・ミノサイクリン(テトラサイクリン系)の特徴はスペクトラムの圧倒的な広さ。カルバペネムを超える。 ・グラム陽性菌、グラム陰性菌に加えて嫌気性菌、マイコプラズマ、レジオネラそしてクラミジア、リケッチア更に原虫にも効果がある。 ・腎機能や肝機能…

せん妄に対して何の抗精神病薬を用いるべきか

抗精神病薬選択のポイントは以下の通り ・定型抗精神病薬は錐体外路症状が出やすいので極力非定型抗精神病薬を選ぶ ・いずれの抗精神病薬もせん妄治療効果は同等 ・抗精神病薬には鎮静作用のあるものとないものがある。興奮の強い患者では鎮静作用のあるもの…

PPIの使い分け

NSAIDS胃潰瘍やピロリ菌による胃潰瘍あるいは逆流性食道炎などに対してプロトンプンプインヒビター(PPI)が用いられる。ガイドラインではそれぞれのPPIの効果に違いは無いとされており、どれを使っても問題はないがそれぞれの違いについて簡単にまとめ。 オ…

脳浮腫に漢方五苓散が効く理由

脳梗塞や脳腫瘍あるいは慢性硬膜下血腫など頭蓋内病変によって脳浮腫が起こる。脳浮腫とは文字通り脳細胞がむくんだ状態であるが、脳全体の体積が大きくなりすぎると脳幹を圧迫する脳ヘルニアを引き起こして致死的な状態となりうる。 西洋医学的な治療法とし…

ペニシリン不応の扁桃炎でマクロライドを使う理由

急性扁桃炎は主に溶連菌感染症により発症することが知られており、長い間ペニシリンが治療のゴールドスタンダードとして用いられてきたが、近年ペニシリンの効かないケースもしばしば報告されている。 ペニシリン不応の理由として次のような理由が挙げられて…